このあいだつくしを食べてみたその余韻も冷めやらぬなか、また新たな春の味覚をいただきました。どうやらわたしの好奇心は暖かな陽気に土中から躍り出てきたかのようなのです。

つくしを食べましたよと知人にお伝え申し上げたところ、〇〇くんはすごいなぁと感心されました。好奇心は大事です。今回その好奇心の行き先を決めてくだすったのも、そのようにわたしをお褒めいただいた方のお言葉によりました。彼女はわたしにたんぽぽを勧めて来たのです。

たんぽぽは可憐です。野に咲く花のように…と、某歌手が歌っておりますのも、わたしなどはたんぽぽの黄色い花弁を思い浮かべてしまうほどです。そんなたんぽぽですが、どうやらその全体が食用としていただけるとのことらしく、それなのにわたしはいただいたことがないというのはなんとも不条理な想いに駆られてしまいます。

よく晴れた日でした。わたしは疎水のいまだ通わぬ土手沿いを歩いていました。足元には無数のたんぽぽです。そばにはサクラが並木なみきしています。春です。春なのです。わたしはさっそく摘み始めます。早くしないと綿毛わたげしてしまって、わたしの好奇心とともに白く風に飛び去ってしまうでしょうから。

ふたたび、わたしはキッチンに向かいました。調べてみるとたんぽぽはつくしに負けず劣らず苦いそうです。とりあえず素材の味を味わってみたかったわたしは、たんぽぽの花と葉とを、何かしらで和えてしまう構想を立てました。例によって沸騰させた湯に通します。特にめんどうなこともせずに冷水にさらし、苦味抜きに数時間水に浸けておきます。

さて、時間になりましたら、なにで食べようか迷いました。というのも味見してみたところやっぱり苦いのです。たんぽぽの苦味でした。わたしは青物ならだいたいカバーできると勝手に信じているマヨネーズとゴマ油とで和えることにしました。ビジュアルはそれほどよくないですが、とりあえず風味は良さげです。

で、味ですが…苦いです。葉っぱはイタリアン系のお店の食べていいのかわからないような盛り付けのための妙チクリんな形をした葉っぱがありますが、あれをイメージしていただけるとさほど間違いないです。じゃっかんエグミがあってゴマ油が頑張ってくれていましたが、やっぱり苦いです。でも食べられないこともないです。とはいえ美味しい！と絶賛することはお世辞にもできないでしょう。

葉っぱのエグミは花の方にはそれほど感じられませんでした。こちらは食用菊といったあんばいでありまして、花弁のつぶつぶした食感がたんぽぽを食べてる臨場感をもたらしてくれます。

たんぽぽは根っこを食べるのが最高らしいんですが、今回は収穫のめんどくささに妥協してしまいました。春は依然盛ってますから、よろしければみなさんもご賞味あれかし♪