ラジオ
多感な時期。捻くれ者の私の側にはラジオがいつもいた。
深夜、安いイヤホンを耳にさし、親に聞こえないよう声を殺して笑って…。携帯のない当時、ネタを考えては近所のコンビニまで自転車を走らせFAXを送る日々。急いで帰宅し、読まれるかどうか待つあの時間。
あの人が大笑いしながら読んでくれた時、一人じゃないんだと感じることが出来た。
友達は多かったし、別段生活に不満があったわけじゃないけど。自分の感情を曝け出すことが苦手な私にとって、あの時間はなくてはならないもので。
鬱々とした黒い感情に飲み込まれそうな夜も、ラジオは私をいつも救い出してくれた。
月曜から金曜22時~25時。
突然の番組終了となるまでのあの時間が、
今の私のベースになっている。
あれから何年経っただろう。
就職し、仕事の忙しさからラジオを聴かなくなり…結婚、出産、育児…。いつの間にかここまできた。
不器用な私は、出産後に余裕がなくて、好きだったはずの音楽や映画、本からもずっと離れていて。気付いた時は、浦島太郎のようだった。
やっと自分の好きなことに手を出す気持ちのゆとりが出てきたのに、この数年間の喪失分を取り戻すことは出来ないなぁ…。とぼんやり思いながら毎日を過ごしてきた。
そして、つい先日。
親の通院付き添いで車を走らせていた時。助手席の母が「あっつーい!クーラーどこよー」と言いながら、あちこちのスイッチを入れていて…。
すると突然、車内にあの人の笑い声が響いた。あの時と変わらない、私の大好きな笑い方だった。
なんだ、ラジオは此処にあるじゃん。
ずっと近くにいたんだ…。
病院までの道すがら、私はたくさん笑って、ちょっと泣いた。
コメント
2018/07/13 17:17
2. 深夜ラジオと言えば、俺はオールナイト日本でした。特に、鶴光担当の土曜日の夜は、ラジオから離れられなかったです(笑)
中学生の頃の話なんですけどね(^◇^)
返コメ
2018/07/13 14:12
1. 私の小さい子供の頃はラジオは安い鉱石ラジオでしたよ、高校生の頃やっとトランジスターラジオ買ってもらいました。ラジオから流れるエルビスプレスリーの歌声は今も心に残ってます。
返コメ