嫌い切れない川
40代半ば  東京都
2017/07/16 7:09
嫌い切れない川
嫌いな川だ
幼い頃は 大好きだった川

地元の子供たちの遊び場だった河原を
その前の水流が
いつも見守るように 絶えず流れていく

危ない時には 水位を上げ
流れの音は 危うい音になる

危険がない日は 安心して遊びなさい!
と、言わんばかりに
川の流れの音は 子供たちの声に掻き消されながら

それでも 川のせせらぎは絶えず
子供たちに合図を送れるように
確り見守ってくれた

20歳 成人式
まだ
朝日に光る水面
夕日を眺める帰り道
私は この川も
大切な幼馴染だった

21歳
バイト先からの帰り道が河原だから…
河原に潜む危うい影たちは
私と家族を脅かし始めた
22歳
ストーカー法のない時代
私は
川を眺める為に 母が作り付けた出窓の中から叫んでいた
助けて!誰か、助けて!

気付くと
パトカーや警察車両6台
救急車、消防車がずらりと家の前に並んでいる

あの、昼下がりに
川に 私の声は届かなくて
川は 室内にいる私には気づかなかったのだろう

以来
大嫌いな川になり
私は地元から逃げた

何故、被害者が逃げるの?
疑問はありながら
逃げるが勝ち!…極論まで行きついていく私の精神は

ひたすら川を避けながら生きてきた

寂しくなると
ふと…久しぶりに眺めに行きたくなる懐かしい川

大切な幼馴染の川

大嫌いな川になりながら
辛いあの日を
いつか楽しかった思い出が
綺麗に流してくれる日を待っている

いつか
嫌い切れない川で
深呼吸ができる日を
静かに待っていよう



コメントする

…━…━…━…

無料会員登録はコチラ

…━…━…━…