傷つく場所の貯金箱
40代半ば  東京都
2017/04/08 3:55
傷つく場所の貯金箱
心の中を覗けたら
どんなに楽だろう

他人の心の中までとは思わない
せめて
ほんの少し…
自分の心の中を覗けたら…

そんな風に思うのは
大抵
心が痛む時
心が酷く痛む時だ

何かにしがみ付いていないと
群れからはぐれてしまいそうだ

傷ついた心を
私の身体は
上手く誤魔化すことばかりを憶えていく
心はといえば…
不器用に踊るどころか
ステップを踏む足さえ絡まるだけ

傷つく場所を知らないままの心は

何かにしがみ付いても
不器用な踊りすら出来ない
単純なステップくらい踏めたら…と空回りする

そんな時
自分の心を覗けたら
一体何が見えるのだろう?

忘れたはずのカサブタの傷跡?
まだ、血が止まってないならマキロンと絆創膏?
心は何色?
形は不恰好?

こんな風に
心を覗けたらと空想をしながら
心のどこかに
傷つく場所を用意できたらと
現実から逃げてきた

傷を隠しながら
身体で笑顔を作っては
痛む心の居場所を探すけれど
…そんな場所も余裕もどこにもない

心の医者はみんな卑怯だ
そして
心の医者に限って
心のバランスを崩すような難しい事を言う
そうして混乱させられた心に
良くない薬を差し出されたら
上手く騙されて
身体にヤケクソみたいに放り込んでしまう
それこそ
目に見える何かに縋るように


ほんの少しだけ
心の中の傷つく場所がわかっていたら
人は
随分と楽に生きられるのにね

そんなこんなで
長い年月を生きてみた


ようやく近頃
私は
心の中に傷つく場所を求めることを止めた

そうしてこの頃
心に傷を負う度に
私は
道端で小さな石ころを拾うようになった
子供みたいにしゃがみ込んで
傷の形に似た石ころを大真面目に選ぶ
だから
選ばれた石ころはみんな不恰好だ


石ころの行き先は貯金箱


貯金箱に石ころが入りきらなくなったら
自分ご褒美をする
例えば
一日、ズル休みをしたり
2、3日のんびりと
ひたすら好き勝手に過ごしたりしてみる

そんな時間を過ごしてから
このくらいは軽くなったかな?
と思う分だけ
貯金箱から石ころを減らしに行く

河原に出掛けて、石ころを捨てるのだ
心が軽くなった分くらいの石ころだけを捨てるのだ

力一杯放り投げると
ポチャーン、と遠くで小さな音
無造作に真下に落とせば
ズシン、と近くで鈍い音
傷の癒えた石ころ達の音楽会だ

一つ一つの石ころを
力一杯放り投げてみたり
目の前に落下させて沈む様を見届けたりするから
石ころ減らしには時間がかかる


傷つく場所の貯金箱に
私はディズニーのニモの形を選んだ

傷ついた心を
誰がに探して欲しいからかな?
私の傷つく場所の貯金箱は
Finding Nimo

ニモを連れて河原に出掛ける日の気分は
良くも悪くない

石ころ投げを済ませて
ニモを抱えて再び帰路を歩く頃
私の心は
ニモから減った石ころ分だけ軽くなっている


投げ捨てた石ころ分だけ
ニモの中には光が差し込むから心は温かくなる
空気が入るスペースが少しはあるから呼吸もできる

私の…
傷つく場所作りのセレモニーだ︎

夕日が綺麗な日には
私は少し欲張りになる

隣に
こんな幼稚な私の傷つく場所作りのセレモニーを


微笑んみながら見ていてくれる誰かがいたらな…

一人ぼっちの苦笑い







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コメント

40代半ば  東京都

2017/04/14 1:14

2.  >>1 ヘタレさん
コメントをありがとうございます。
一生を一つの傷も付かないで終われる人間なんていないでしょうね。
人間だから傷つくのだとしたら、傷つくことは贅沢なのかな。

60代前半  東京都

2017/04/08 4:08

1. 貯金箱に貯まる石全てが、暖かい布で包まれていれば貯まることは無いんでしょうね(*´∀`)

春の暖かさがその布かも知れませんよ。

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