幼馴染の娘がＦカップの成人女性になっていた

20代の頃、母校である小学校の同窓会に初めて参加した夜だった。

俺とヨシとＴ君は、２次会には参加せずＴ君の家でヤケ酒を飲むことにした。

T君は仲間内で一番最初にできちゃった結婚した幼馴染みの一人である。

ヤケ酒の理由は女子の参加が思ったより少ないうえ（自分達のことを棚にあげ）かなりクオリティーの低い女子が集まっていたことと

一番のショックはクラスで一番の美少女であったＹちゃんが来ると聞いてたのに当日ドタキャンで参加しなかったことである。

特に普段は明るいＴ君はすっかり元気がなくなっていた。

Ｔ君はＹちゃんにぞっこんだったからな・・・と思っていたのだが、Ｔ君が肩を落とす理由は他にあったのである。

同窓会に集まった女子を見たＴ君。

「子どもの頃にブスだった女子は大人になると美人になるって話…

あれは嘘やったんやな…｣

うなだれながら小さくつぶやいたT君は遠い目で

３歳になる「ガッツ石松｣似の愛娘を見つめていた。

T君もT君のお父さんもガッツ石松似なのだから、
責めるべきはDNAであって「ブスは大人になると美人になる説｣を唱えた人ではない。

シーンと静まり返る部屋。

俺もヨシも次の言葉が出ない。

「まだわからんやん！今は赤ちゃんみたいなもんやし大人になると美人になるかもや｣

肩を落とすT君を励ます意味で俺はそう言ったような気がする。

それから歳月は流れた。

毎年やってる新年会でT君はニコニコしながらビールをつぎにきた。

「今年、娘が成人式やってん｣

「もうそんなになったか！

・・・もう、そんなに(+o+)」

友人の子どもの年齢を聞くたびに自分がいかにオッサンになってるのかを認識する中年あるあるである。

T君はスマホで娘が成人式時の晴着を着た写メを見せてくれた。

そして俺は驚愕した

成人を迎えた娘は

T君よりも、T君のお父さんよりも

ガッツ石松似に磨きがかかっていた。

Ｔ君は「な！？」っとドヤ顔で俺に何らかの同意を求めた。

何が「な！？」なのか？

子どもの頃にブスだった女子は大人になると美人になるって話はウソだったという

「な！？」なのか。

T君はニコニコしながら

「どや？美人なってるやろ？｣

そっちの「な！？」だったのか？

俺にはわからない。

去年ある動物園のイケメンゴリラがブームになったが俺にはどこがイケメンなのかわからなかった。

それと同じようにＴ君の娘は俺には判別できないだけで「霊長目ガッツ科｣の中では美人なのかもしれない。

二枚目はツーショット写真。

隣りに写る爽やかボーイの白い歯が、腐りかけの中年男性（俺）にはまぶしく見える。

T君曰く「新しい彼氏やねんそいつ｣

そう娘には彼氏がいるのである。

顔はガッツ石松かもしれないが、なんと顔から下はFカップ（推定）。

ゴリラのかぶり物をした綾瀬はるかだと思えるイマジネーションを持てるなら勃起しなくもない

実は彼女とは高校１年生まではＴ君の家で会ったりしてた。

Ｔ君の娘との想い出は２つあって―

俺がT君の家で飲んでベロベロに酔ったことをいいことに財布から８千円を盗んだ犯人は中２の時のこいつだった。（Ｔ君にはチクらないようにしてあげた）

あと彼女が高校生の頃に駅前でばったり会って暇だったからメシでも奢ったろか？と聞いたら
この後ダンス部の友達と約束してるから・・・って

なぜか集まったダンス部の女子全員分をガストで奢らされた時もあった。

（でもある意味そのシュチュエーションをお金で換算すると逆に安上がりな良い思い出ではあった）

Ｔ君の家に行けば「りょうま君～！」と懐いてくるので石松だけど可愛い女ではあった。

Ｔ君の娘はとにかく明るく前向き。

自分の顔がガッツ石松よりなことは自分自身でも認識してる。

でも全く卑屈になることはない。

イケてる女子の代名詞的なダンス部でも３年間活動し、男を好きになれば怯むことなくガンガンアプローチするのだ。

俺はこんな女が大好きである。

幼少期からさんざんブスだと悪口言われてきても

性格に裏表がないから男にも女にも人気がある。

なので彼氏が途切れることはない。

成人式の写真を見せられた時にＴ君が

「俺の娘はいい女だろ？」の「なっ！？」なら俺は「うん」と即答していただろう。

あの娘も２０歳になったなら、遂に酒でも連れてってやろうかと思う。

ただし元ダンス部の友達は全員必ず連れてくるように。