アル中にはなりたくない
40代前半  大阪府
2018/04/05 1:56
アル中にはなりたくない


基本的に毎日酔っ払ってると言っても過言ではないほど酒好きな俺だけど、実は酒を呑む上でマイルールなるものを設けている。





週に2日以上は肝臓を休める休肝日?



休肝日

んなもん、クソくらえや!






本体の俺が週に二日も休まず働いとんねんから内臓ごときが休みなく働けっちゅうねん!



俺はマイブラック企業ですよ。







さて酒を呑むうえでの俺のルールとは―





『精神的に辛い時、しんどい時、寂しい時は呑まない。あるいは絶対に一人では呑まない。』である。




なんじゃそら?って呑まない人は思うかもしれないけど、楽しい時に呑む酒と辛い時に呑む酒では全く塩梅が違ったりするのである。






あくまで俺のケースだが



楽しい時の酒は楽しさを後押ししてくれるツール。






辛い時に呑む酒は酩酊状態になるまで呑んでしまうので本当に危ない。






酒を呑めるだけ呑んでグルグル回る色んなドロドロした感情を真っ白にして気絶するように眠らせて朝を迎える。





そうすると酒が解決した感になってくる。

「酒はやっぱり裏切らない」となるわけだ。





人生なんてストレスや辛い事の方が若干多い。



そのたびに酒が救ってくれると思ってるから酒を呑み始める。




しんどいな、辛いなと思う度に酒に助けを求める。





どんどんエスカレートして、朝起きてしんどかったら朝から酒を呑み始めてしまう。








平たく言うと

俺はアル中になるのが怖いのだ。







俺が20代の頃、当時30代後半の先輩のCさんがいた。





Cさんは酒が好きな人で俺もしょっちゅう酒を付き合わされたが人間的に面白くて情に厚くて俺は大好きな人だった。





一度呑むと浴びるほど酒を飲む人で、昔の映画のジャッキーチェンの師匠みたいに鼻の先がいつも赤かった。





人生とは山あり谷あり。

いつも浮き沈みの連続である。




それは綺麗な波とは限らない。







この人の谷は少し人より長かった。


親友から騙され、愛する妻との離婚や事業の失敗が続きこの人から去っていく人も大勢いた。




毎晩、引くほど酒を呑む。




別に愚痴を言うことも無く、弱音も吐くことも無く黙々と呑み続けるのである。



さすがに気持ち悪くなった俺もCさんから一線を引くことにした。





俺が30代になった頃、久々にCさんから連絡があって会おうということになった。





しかし待ち合わせ時間になっても来ない。



何十回も電話したが出ない。





何だか不安になってくる。



家を知っているので行ってみた。



家のカギは開いていた。


前から鍵を閉めないのは変わっていない。

(ちなみにトイレの鍵も閉めない人)






酒の匂いが充満した部屋である。




缶ビールの空き缶や一升瓶がそこら中に転がっている。




Cさんがコタツの中で横たわっていた。




大きないびきをかいていたのでとりあえず生きててホッとした。




「Cさん!Cさん!!」



俺はゆすってCさんを起こした。




「・・・おお・・・りょうま来たか・・・」



久々に見たCさんは全体的に見る影もない程に老けてやつれていた。



ただ顔は浮腫んでパンパンだった。

恐らくさっきまで呑んでたんだろう。





Cさんはコタツから出ると、フラフラとゾンビみたいな足取りで台所に行った。




水を飲むのかな?と思ったらおもむろに冷蔵庫をあけて缶ビールを取り出した。



二日酔いで起きて最初の水分がビールである。






昔は本当にお世話になった人。


涙が出そうになった。





「Cさん、病院に行きましょうよ」




Cさんは呂律の回らない口調で

「・・・ん?何?大丈夫や・・・」





「絶対にアル中ですって、病院に行きましょうよ」



「・・・うるさいな大丈夫や言うてるやろけ」





Cさんは絶対にアル中ではないという自信があった。




「何でアル中やないってそんな自信満々に言いきれるるんですか?」







「理由教えたろけ?」



本当にアル中ではないのかもしれない。





「理由を教えてください」












「あんなー酒の入った大きなひょうたんを持った神様が毎晩俺のお腹の中からニョロっと出てきてなー「大丈夫やでお前はまだまだ呑めるから呑みなさい」って言ってくれるねん、酒の神様が言うねんから間違いないいやろがい?」






これはギャグではない。


真顔で言ってるのだ。








「ほら、酒の神さん出てこい!」と真顔で言いながらお腹を激しく叩くCさん。



俺はその場でCさんと仲の良かった先輩に連絡した。








その数日後、Cさんは入院した。





鉄格子が張り巡らされた窓の個室でブツブツと独り言をつぶやくCさんを見たのが最後の姿である。今はどうなってるのかは知らない。








しんどい時は俺は人に助けを求めるで。





思ってることは人にしゃべって愚痴って発散するのだ。




愚痴を発散するエネルギーとしての酒はOK。


でも一人ぼっちで感情も思考も停止させて呑む酒は本当に危険だと俺は思う。




だから辛い時に、愚痴を吐きたい時に呑むときは心から信頼できる誰かと一緒に呑む方がいい。



何そんな人がいないだって?






そういう相手がいないならじゃあ俺が相手になってやるわ!(超無責任に)






とにかく酒は楽しい日に呑むのが一番美味しいよね(*^_^*)


だから俺は今日も楽しく生きるのである。



なぜなら酒を美味しく呑みたいから。

(すでにその発想がアル中とか言わないように。)

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