転勤する女性のまさかの事情とは・・・
我が社は、主要都市に支社がいくつかあるのだが、なんせ人の入れ替わりの激しい職種なので、
あっちの支社の仕事ができる人間をこっちに持って行って、その代わりこっちの人間をあっちに持って行ってなど人の移動で戦力のバランスを調整する。
今回白羽の矢が立ったのが名古屋のNさんという女性である。
彼女とはもうかれこれ10年の付き合いで仕事ができる女性である。
Nさんは現在35歳の女性なのだが、
恐らく日本在住の女性の中で
俺の性の対象に入らない数少ない女性である。
なぜ性の対象に入らないのかわからないが、昔から女として見ることができなかった。
10年ほど前、東南アジアでロケを一緒にした時に、突然のスコールに見舞われ機材を持って慌てて近くの体育倉庫みたいなところに雨宿りをした。
外は集中豪雨、コンクリートでできた体育倉庫のようなせまい空間に、全身びしょ濡れの彼女は白いTシャツが透けて推定Cカップのピンクのブラが丸見えだった。
こんなシチュエーション…普通だったら
貴ノ岩そっくりな女でも欲情するはず。
だけどもチンコが1ミリも反応しなかった。
Nさんは決してブスでもない。
だけどもなぜか女として見ることはできず、それは今もずっと続いているのだ。
Nさんは現在名古屋で仕事をしているのだが、6月から福岡に転勤してもらいたいという話になった。
上層部はNさんは独身だしちょうどいいという意見である。
しかし俺は躊躇した。
なぜなら彼女は結婚はしていないのだが同棲をしているっぽいのだ。
ずーっと独身だし俺は女として見れてないからずっと相手なんていないと思っていのだが、ある夜にNさんが間違って俺のLINEに一通のメッセージを送った。
「今日、仕事遅くなるから先に寝てて」
俺は2秒で返事した。
「テメー男できやがったか!?(´・ω・‘)」
既読スルー。
「今、同棲しています」
って返事が届いたのは既読スルー一週間後である。
それから2年。
今は同棲しているのかどうかわからない。
もしかしたら結婚も考えてるかもしれない。
できるかぎり客観的状況は配慮してあげたい。
Nさんはもう35歳。
相手も仕事はあるだろうし、Nさんを転勤させて遠距離で結婚もできなくなったりして人生を狂わしたくないのである。
先日、名古屋に行って久しぶりにNさんと呑みに行った。
もちろんメインは転勤の話だが、Nさんが同棲相手と結婚を考えてるならこの話は無しにすることも想定していた。
「今も同棲してるん」
「はい、してます」
やはり結婚前提の同棲だろう。
転勤の話は無しにしようか・・・
「そうか。どんな奴なん?写真見せてや」
Nさんはちょっと躊躇したが、俺に同棲相手が映っているスマホを俺に向けた。
Nさんには失礼だが同棲相手は年上らしく、どんだけハゲでデブのブサイクなオッサンなんだろと笑う準備をして俺は写真を見た。
その写真を見て俺は愕然とした。
期待を裏切られたというか
思っていたのと全然違う・・・
写真に写っていたのは
50代のオバハンだった。
「私、LGBTなんです」
LGBTとは、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(性同一性障害など)の頭文字をとった言葉である。
Nさんはレズビアンだったのである。
まったくの想定外に唖然とした。
俺はオカマの友達はたくさんいる。
彼(彼女)はおおぴろげて男好きを公言している。
だけど大多数の人はLGBTをカミングアウトできずにいたりする。
自分の常識が必ずしも常識ではない。
恋愛は男女間だけでするものでもないのだ。
そんな世界は知ってたはずなのにそんな想像力も働かせず、「男と同棲してるやろ?」「結婚考えてるなら転勤の話は反対しとくで」とよく言えたもんだ。
自分の世界の狭さに恥ずかしくなってしまった。
同性愛なら結婚できないね、ハイ!じゃあ転勤ね
とは俺は口が裂けても言えないわ。
だけども会社の上層部はなんて思うだろうか。
最後に「彼女と相談して決めます」とNさんは言った。Nさんと彼女のゴールはどこに設定しているのはわからないけど、一生の伴侶として考えてるらしい。
最悪辞めることも考えてる顔だっただけに俺はずっとモヤモヤしているのである・・・
何とかみんなが幸せになれる形を追求したいと思うのと、俺のチンコセンサーはやっぱり正確だなと思った夜であった。