30歳まで童貞だと｢魔法使い｣になれるという噂が､まことしやかに存在する｡


ほんとうかどうかは非童貞である俺では立証できなくて残念なんだけど


そんな素敵な噂をもっと早く聞いていたら俺は30歳までｾｯｸｽしなかったのに････とは思わないｗｗ


俺が心から尊敬する先輩で本当に頭の上がらないKさんって人がいる｡


Kさんは当時42歳｡


童貞であった｡



40歳まで童貞のKさんが魔法使いになってたかどうかは定かではないが


なんというか人智を超えた不思議な能力を持っていたことは間違いなかった｡


口元はいつも微笑を浮かべ､目は優しく半眼のような眼差し

まるで御釈迦様のようなｵｰﾗを放つ人であった｡


Kさんがもし

釈迦如来像のように右の手の平を胸前に､左の手のひらを前に突き出す､おなじみの『与願印』のﾎﾟｰｽﾞを作れば


その姿に､勘違いしたお年寄りが

｢ありがたや～｣と

拝んでしまうんじゃないかってほどの神々しさだった｡



俺みたいなﾖｺﾞﾚでさえ､Kさんに説教されれば産まれたての赤子のような純粋無垢な気持になってしまう｡


いいや､俺だけではない｡


ｸﾗｸｼｮﾝを鳴らされたという理由で黒塗りのﾍﾞﾝﾂをひっくり返そうとして｢ｷﾞｯｸﾘ腰｣になって怖い人達に袋叩きにされたｱﾎも


小劇団の旗揚げ公演で舞台上で脱糞して､そのうんこを指差しながら
｢人間なんてみんなｸｿだ！｣と
叫んで演劇界から干されたｱﾎも


こんな荒くれたｱﾎ達でさえKさんに説教されれば

みんな波平に怒られたｶﾂｵみたいに､正座してﾊﾞﾂが悪そうな顔で反省する｡


Ｋさんは､別に怖い人ではない｡

上品で人格者で誰にでも優しいKさんを､みんな心から崇拝していたんだ｡

｢人の心の痛みを知りなさい｣とか

｢太陽に背を向けるような人になってはだめだ｣とか

｢親孝行しない人は何もできない｣とか

すっごくｲｲ事を言う人なんだ｡

｢溢れるｶﾘｽﾏ性｣

この不思議な魅力はどうやって作られるのだろうか････


もしかして30歳まで童貞だと｢魔法使い｣になれるってのも､
あながち嘘ではないのかもしれない｡



そんなKさんが2年前に42歳でお見合い結婚することになった｡

嫁さんは38歳｡

けっして美人ではないが明るく優しい奥さんであった｡


Ｋさんは結婚初夜まで嫁さんに指一本触れなかった｡


こんな古風な考えや紳士的な態度のＫさんを俺はますます尊敬したのである｡


ともあれ､Kさんは42歳にして新婚旅行先のｻｲﾊﾟﾝにて､めでたく童貞から卒業した｡


童貞の魔法が解けた日を境に


俺の愛するKさんは････







ただの


｢ｸｿｴﾛｵﾔｼﾞ｣に

なってしまった…orz


年取ってｾｯｸｽの味を覚えると､ここまで堕落するのかってほどの風俗三昧｡


多い時で週9回風俗に通った｡


御釈迦様のような優しい微笑の口元も､いつの間にか悪魔のように醜くゆがみ､その口から発せられる言葉は


｢ｵﾒｺ､ｵﾒｺ｣の連発で臭い息を吐きながら下品に笑う｡


風俗通いは止められず､ｷｬﾊﾞｸﾗ嬢に入れあげてしまい

40歳まで貯め込んだ相当額の貯金を見事に散財｡


あげく遊ぶ金欲しさに消費者金融で借金まみれ｡


今年の初めに優しい奥さんと離婚｡


童貞の時は釈迦如来のようだったＫさんも､今では俺の顔を見るたびに


｢りょうま､金貸してくれ！｣と


この世で一番ありがたくない

『与願印』のﾎﾟｰｽﾞ｡




『結論』


40歳まで童貞だと｢魔法使い｣にはなれないけど

｢お金使い｣が荒い人にはなれるようである｡




※注意　40歳童貞すべての人がそうではないので悪しからず｡

実際に30歳越えて童貞な人に魔法使いはいないけど､純粋な心の人が多いなってのが俺の実感ではあります(‘･ω･)ゝ