今から5年以上前の話。

１つ後輩のK君と飲んだ日の出来事。


K君は、妊娠中の嫁を持つ新婚だったこともあり


終電があるうちに帰ろうってことになってたが


どうもK君が浮かない顔をして、ずっと元気がない。



「りょうまさん、今日朝まで付き合ってもらっていいですか？

俺、今日は家に帰りたくないんですわ…」




俺は最後まで酒は付き合う方だけど


彼と朝まで飲むのは正直、気のりしなかった。



実はK君の嫁はM香と言って俺の中学からの同級生であった。


M香は堅物というか、とにかく生真面目な奴で


独身時代からＫ君の帰りが遅くなると

いつも俺のせいだとネチネチ文句行ってくる。


Ｍ香がめんどくさくて、彼と飲む時はいつも早い時間に解散することにしていた。



「…別に付き合ってもええけど…なんかあったんか？」



「実は・・・M香に、ずっと隠していたエッチなビデオを見つかってしまって・・・・

あいつ激怒してるんですわ」


「はああああ？」


温厚な俺もさすがに頭に血が昇る。


いかにも堅物なＭ香らしいといえばらしいが


妊娠中で夫婦の夜の営みも制限している状況で


浮気や風俗通いがバレたのならいざ知らずＡＶを隠し持ってたことに激怒とは何事だ！



「俺がＭ香に電話したるわ！！」


「あああ！！ちょ・・待って下さい」


必死で俺を制止するＫ君。



女は男にとってＡＶが何たるものなの何もわかっていない。


ただのエッチなビデオだと思ってもらうと困るのである。



失恋した、あの悲しい夜も

人生に躓いて凹んだ夜も

歓喜に湧いた素晴らしい夜も


いつも変わらぬ裸体と喘ぎ声で

ずっと俺たちに寄り添い勇気を与え、

明日も頑張ろうって気持ちにさせてくれたのはＡＶなのである。


お世話になった「思い出」のＡＶは俺達の青春

・・・いや宝物といっても過言ではないのである。



断言する。


男なら誰でも、いつか自分が死んだら


棺に一緒に入れてほしいＡＶの１本や２本は必ず持っているのだ。


ってな熱いＡＶ談義を京橋のショットバーでＫ君に話しているウチに


酒の回りとともに再びボルテージが上がり


「やっぱり許せん…俺がＭ香に電話したるわ！！」


「あああ！！ちょ・・待って下さい」


の繰り返しになった。



Ｋ君がこの日一番の大きなため息。


やっぱり不可解というか様子がずっとおかしいのである。


「ちょっとお前、おかしいぞ？」


うな垂れながらＫ君が話す。


「実は、見つかったＡＶなんですけどね・・・・」




・・・・時間が止まった( ´・ω・｀)







Ｋ君がＭ香に見つかったＡＶのタイトルは








『ハメ勝ちラガーマン』

現役重量級筋肉ラガーマンが絡み合う

とてもワンパクな「ゲイビデオ」であった。





「僕、２刀流なんですわ・・・」


けっこう長い付き合いやけど、まったく知らんかった(￣Д￣；；



「前に、千代の富士が好きやったって話しましたやん」


まさかＬＯＶＥだとは思いもよらなかった…(￣Д￣；；



その後、Ｋ君にかける言葉が見つからず

とりあえず２人で浴びるように酒を飲んで、朝方にそれぞれ出勤した。


だけども、あれからＫ君とＭ香が気になって仕事にも集中できない。


二日酔いでまだ酔ってたこともあり思い切ってＭ香にメールを出してしまった。


『Ｋに話は聞いたけど、すまんな、あのビデオは前にお前の家で鍋した時に

ヨシ（変態の幼馴染）が忘れていったビデオやねん。

ヨシが返して欲しがってるから送ってもらっていいかな？』

とヨシの住所を添えてＭ香に送った。




Ｍ香からの返事は無し。




数日後、俺の携帯にＭ香からの絵文字も無い

「ありがとう」

の一言の返信メール。



一方Ｋ君の携帯には



怒声が入り混じった


ヨシからの留守電が数件。

（Ｋ君、名義だから家族の前で開封したらしい（笑））



Ｍ香の「ありがとう」は、ヨシの住所を教えたお礼というより


全部バレてるのよ！って感じだろな。


ともあれ今は夫婦・子ども共に仲良くやってはいるみたいなので安心はしているのだが…あわや大惨事。


男性諸兄は嫁や彼女に見つかって「マズイ」ものは徹底的に隠すようにしよう。