同世代の仲間からため息交じりに

｢もう歳やから…｣

ってｾﾘﾌを聞くと非常に残念やなって思う｡


何気なく見てると公開してくれてる読者さんの世代は30代～40代が多い｡


俺の同世代から上の世代が大半である｡


ちょいっと訪ねてみたいんだが


子どものころ､今の年齢の時に｢ｲﾒｰｼﾞしてた自分｣と

現実の｢今の自分｣と同じ感じになっているのかな？


俺が子どもの頃に漠然とｲﾒｰｼﾞしてた30代はこうだった｡


人々が行き交う地下街をｲﾀﾘｱﾌﾞﾗﾝﾄﾞのｽｰﾂと皮靴で身を包み


颯爽と歩きながら小脇に抱えた紙袋にはﾌﾗﾝｽﾊﾟﾝが見えていて


行きつけの小洒落たｼｮｯﾄﾊﾞｰで高級ﾌﾞﾗﾝﾃﾞｰを舐めながら


草刈正雄のようなﾏｽﾀｰとﾌﾗﾝｽ文学を語り合う｡


30代後半になれば自動的に

佐藤浩市みたいになれるものだと思っていたのに…



現実は違う｡



寂れた商店街でｱﾃﾞｨﾀﾞｽのｼﾞｬｰｼﾞにｻﾝﾀﾞﾙでﾉｿﾉｿ歩き


小脇に抱えたﾋﾞﾆｰﾙ袋からは青ﾈｷﾞが見えていて



汚い大衆酒場で安酒をあおりながら


水野晴郎みたいな店長と｢ｳﾝｺ｣と｢ﾁﾝｺ｣の話でむせるほど笑って


ほとんど佐藤浩市というより

『佐藤蛾次郎』のｶﾃｺﾞﾘｰに入りそうな俺がいて



俺が想像していた年齢と今の自分を見比べるてみると


｢加藤あい｣と｢阿藤快｣ぐらいの違いに


騙しやがってﾁｸｼｮｰ！！金返せ！！！


って誰に叫んでいいのか､わからない憤りを感じているのである｡


まさか35歳にもなって｢ｵﾅﾆｰ｣なんてしてる生物になってるなんて想像もしていなかった｡


まず間違いなく40代､50代になってもｱﾎ顔して腰に手を当てながら

｢俺､おっぱい星人｣

とか言ってると思う｡



じゃあ､今の自分が嫌いなのかというと


これまた､今の自分が､たまらなく大好きなもんだから困ったものである｡


俺は人と会うと必ず見るとこがあって


女性なら問答無用に｢おっぱい｣なんだけど


男女関係なく見るとなれば総じて


｢目｣である｡


目は口ほどにﾓﾉを言うとは良く言ったもので

どんな表現下手な人､無口な人でも目は雄弁に語ってくれる｡


性別や世代は関係なく目がｷﾗｷﾗしている人は本当に｢素敵な人だ｣と思うし

自分もこうありたいって素直に尊敬してしまうのだ｡


子どもの目があんなにｷﾗｷﾗしてるのは


きっとまだ何も知らなくて色んなことにﾜｸﾜｸしてるからやと思う｡


歳を重ねるにつれそのﾜｸﾜｸは一つずつ失っていくものだけど

大人になってもまだﾜｸﾜｸしてる人はやっぱり目もｷﾗｷﾗしてる｡


40代､50代､60代になっておっぱい星人でもいいやん｡


佐藤浩市みたくなれなくてもいいやん｡佐藤蛾次郎は嫌だけど…


ただ､いくつになってもﾜｸﾜｸしながら目の輝きだけは失ったらｱｶﾝよなって思う｡



｢もう歳やから…｣ってｾﾘﾌは


いつかﾁﾝｺの立ちが悪くなった言い訳以外では使わないって心に決めている｡


俺達の世代はやろうと思えば何でもできると思う｡


今では､絶対に考えられないことかもしれないけど


俺達の世代って携帯やﾎﾟｹﾍﾞﾙが無くても


ちゃんと友達や彼女と待ち合わせができていたやないか｡


きっと不可能なことは無いと思うのである｡