蒸し暑くなってきたので今日は「オカルト」な話をしようと思う。


俺は怖がりだけどオカルトな話は幼い頃からの大好物である。


なので霊の世界は肯定的なスタンスではあるが

俺自身が霊感があるわけではなく見たり聞いたりの類でしか無いため

信じるか信じないかはあなた次第。

という日記である。


俺の学生時代にすごい力を持つ「霊感女性」がいた。


友達のＳ君の彼女である。


Ｓ君は渥美清がマイク・タイソンに強烈なアッパーカットを食らったような“しゃくれ顔”

ルックス的に大変、個性的な男である。


しかし顔が寅さんに似てるからと言ってフーテンではなく、真面目で誰にでも優しい男である。


ルックス的には「アレ」なＳ君だけど、性格がいいからちゃんと彼女がいる。


その彼女が今回紹介する「霊感」女性である。



仲間とのバーベキューにS君が彼女を連れてきたのが初めての出会いである。


事前にＳ君から「彼女は視える人」と聞かされてたから、どんなオカルトチックな女性が来るのかと思ったら

一見、普通の女性。

普通というより、誰もが振り返るような美女であった。

言ったら悪いがＳ君とは釣り合っていない。


「美女と野獣」である。



とにかく評判通り、明るくて良くしゃべる女性だったが、

霊を視てしまうと急に口を真一文字に結び無表情になるというのもＳ君から聞いていた。


確かにバーベキュー中も集団から少し離れると海を睨みながら「その顔」でブツブツと何か言ってた。


好奇心旺盛な俺はいろいろ聞きたいことはあったが

彼女に霊感があるってことを知らないふりをしててくれとＳ君から頼まれていたので、あえて何も触れなかった
。


幼い頃から霊感体質な女性であったという。


当時は自分が視たモノを、そのまま口に出してしたんだけど


両親には、何らかの障害を疑われ何度も病院で検査を受けさせられた。


友達にもドン引きされて、気がつけば自分の周りには遊んでくれる人が誰もいなくなってしまった。


視てはいけないものを視てしまう能力は多感な時期の彼女を孤独に追いやった。


彼女は、よほど近い人以外は自分に霊感があることをずっとひた隠しに生きてきたという。


彼女には霊を視る以外にも、すさまじい能力があった。


それは「嘘を判別」する力である。


にわかに信じがたいが

彼女の目には嘘をついている人間の顔が『緑色』に変化していくらしい。


顔色が変わるという比喩表現があるが、彼女の目には実際に顔の色が変わって見えるのだという。


Ｓ君が「俺、絶対に浮気とかでけへんわ、隠しても顔が緑色になって速効でバレるもん」と興奮気味に話しているのだが


浮気の心配よりも、S君が顔が緑色になったらまんま「シュレック」になるがなと心配してしまった。


後日、仲良くなった霊感彼女に、酔った勢いで聞いてみた。


「君やったら、もっとイケメンいけるやろ。なんでＳ君を好きになったん？」


彼女は「顔が緑色にならないから」と言った。


過去の男はすぐ顔が緑色になる嘘吐きばっかで、Ｓ君は嘘の付けない正直者。


だから好きになったという。


ちょっとだけ耳が痛かった。


ある日のこと

「りょうま、大変や～！」

と顔面蒼白のＳ君。


話を聞いてみると

なんとＳ君も霊が視えるようになってきたという。


Ｓ君の顔を見れば幽霊も足を出して逃げると言われてたのに…


極めて霊感の強い人と近い関係になると、稀に霊感体質が伝染すると聞いたことがある。


Ｓ君は怯えながら体験談を語った。


「風呂に入ろうと浴槽のふたを開けたら髪の長い女が顔半分出して笑っててん」


「女か？」



「髪の長い女や！」



「若いのか？」



「若い女や！」



「女は裸か・・・？」



「・・・・・」



「おっぱいは見たのか！？」


・・・・以下、省略。


風呂場に出現する女幽霊には関心がちょっとアレな方に進んでしまった。


ただ、いろいろと話を聞いてみると霊感彼女ほどでは無いにせよ、本当にＳ君も時々視えるようになったみたいで相当参ってる様子。


「彼女に相談したら？」って言ったら

「自分のせいで俺を霊感体質にしてしまったと彼女を落ち込ませたくない」とＳ君。

本当に性根の優しい男である。



さらに月日が流れ


「りょうま、大変や～！」

と今まで以上に顔面蒼白のＳ君。


遂にＳ君は霊だけではなく「嘘を判別」する能力まで彼女から譲り受けてしまった。



「顔が緑色に視えてもうた・・・」



「誰の顔を見たんや？」



「彼女の顔や…顔が緑色になった」



「いつ？」




「彼女とエッチしてるとき・・・」



結論。




女の「イクー！」ほど信用ならないものは無いらしい。


信じるも信じないも貴方しだい。である。