人を見た目で判断してはいけない。


人間って見た目のイメージで勝手に判断し「この人はこうだ」と決めつけてその役割を背負わそうとする傾向があると思う。


その典型として


『デブであるという理由だけでキャチャーをさせられる子ども』である。



小学校の頃のクラス対抗ソフトボール大会なんてウチのクラスは悲惨だった。


上述したようにキャッチャーはクラスで一番のデブで、座ったり立ったりがしんどいからって立ってキャッチャーやってたり


「岡田」という名前だけで女の子なのにセカンドで３番バッターだったし


そんな感じだから試合に勝ったためしなんか一度も無かった。



そんな中、我がクラスに関東から転校生がやってきた。　


アフリカ系アメリカ人の父と日本人の母を持つハーフの男の子なんだが


見た目は完全に元ジャイアンツの『クロマティ』なのである。


ソフトボール大会の日も近かったこともあり、ウチのクラスは「ばんざーい！」とわきにわいた。



チームのキャプテンだった俺はまず、形から入るタイプの人間である。


クロマティの彼に指導したのは２つだけ。


「試合中はガムを噛め」

「目の下を墨汁で黒く塗れ」


彼にはセンター、4番バッターを任命した。


大会当日、違うクラスの生徒がクロマティを見てザワザワしている。


それもそうだろう。

他の生徒からしたら


万年最下位の我がクラスが

「遂に助っ人外国人を呼び寄せやがった…」ってなもんである。


なんたる優越感だろうか。


試合開始。


満塁のチャンスに4番クロマティという絶好のチャンスである。


相手チームのピッチャーが恐怖に顔が歪む。


無理もない。


見た目だけで、ここまでバッターボックスで威圧感を与える小学生はそうそう存在しない。


ただ俺には大きな不安があった。


キャッチボールの時、クロマティは見事なまでの「女投げ」だった。


良く見ると構え方やバットの持ち方も変だった。


不安は的中。


ヘナチョコなスイングでボールにバットがたまたま当たった瞬間・・・





クロマティは三塁に走りやがった。


しかも黒人なのにめっちゃ足が遅い。


クロマティは三塁走者とぶつかって転倒。


黒人なのに足腰も弱い。


見かけ倒しとはこのことである。


ポジションはセンターだって言ってたのに

ショートとサードの間で「ボ～」っと腕組して仁王立ちしてるし。



野球を知らない黒人がいるなんてこの時初めて知った。


結局その年も最下位であったことは言うまでもない。


「黒人だから野球は得意」

無知な偏見であったことを恥ずかしく思う。


実は大人になってもそういうことは多々ある。


どうみても酒が強そうで「芋焼酎のロック顔」な女性が居酒屋で巨峰カルピスなんて注文すると

えええ！！って思わず２度見をしてしまう。



膣の微妙な圧力調整と空気を利用して、下の口で「イ・レ・テ」くらい発音できそうな全身SEXフェロモンな女が

実は処女でラブホで(( ；ﾟДﾟ)))ｶﾞｸｶﾞｸﾌﾞﾙﾌﾞﾙなってたり。



大人になっても片方から鼻水垂らしてブカブカのTシャツを着てる赤塚不二夫の漫画に出てきそうな「アホ顔」の男が

いきなり「ボク弁護士なるわ～」って言いだしたかと思うと数年後、本当に弁護士になった。


見た目の印象を裏切る人間は実に多い。


また俺の勝手な印象や偏見により傷つけてきた人間もたくさんいたと思う。


だからこそ人を見た目だけで判断しない。


これは俺がなるべく守っていることである。