昨晩から俺のｽﾍﾞｽﾍﾞでﾌﾟﾘﾃｨな半ｹﾂが


おしりかじり虫の仕業としか思えない原因不明の虫に噛まれてるようで､ﾊﾟﾝﾊﾟﾝに腫れて痛痒いんです｡



椅子に座っても痛くなってきたので､これ以上酷くなるようなら､お尻の検査に行こうと思う｡



さて､お尻の検査と言えば忘れられない想い出がある｡



それは｢ぎょう虫検査｣｡



今でも小学生って､ぎょう虫検査やってるのかな？



ぎょう虫ってのは人間が眠っている間にｱﾅﾙから出てきて


ｱﾅﾙのまわりにたくさんの卵を産み落す､まるでｴｲﾘｱﾝのように恐ろしい寄生虫だ｡



俺が当時やっていたぎょう虫検査とは､検査用ｾﾛﾌｧﾝをｱﾅﾙに貼り付けてｾﾛﾌｧﾝに卵がついているかどうか調べる検査である｡



ｾﾛﾌｧﾝに卵が付いてたら｢陽性｣となる｡


○の中にｱﾅﾙを合わせるのが意外と難しく､低学年の頃は､あられもない姿で母親にやってもらっていたのだが


高学年になると付属のｲﾗｽﾄを参考にしながら自分でやっていた｡



またｲﾗｽﾄがｼｭｰﾙなのである｡


なぜかﾓﾃﾞﾙはｸｵﾘﾃｨの低い､背中に羽根の生えたｷｭｰﾋﾟｰそっくりな少年が脱力感いっぱいで検査をしてるｲﾗｽﾄなのだ｡


ぎょう虫の前に背中に生えた羽を調べろ｡




ｱﾅﾙにｾﾛﾌｧﾝは不快感もあり､けっこう恥ずかしいものである｡



昔はｳﾝｺを割りばしか何かで採取してﾏｯﾁ箱みたいなんに入れてたんやってｰ！！


その頃の小学生は､爆弾をﾗﾝﾄﾞｾﾙに入れてたんだね｡




ともかく情けない恰好ながらも､無事に青いｾﾛﾌｧﾝと俺のｱﾅﾙが熱いﾃﾞｨｰﾌﾟｷｽを交わして､意気揚揚と学校に向かう｡



何が好きかって言うと､ぎょう虫検査当日の教室の雰囲気なのである｡



朝からみんな恥ずかしい行為をしてきたという自覚があるからなのか


ｸﾗｽﾒｰﾄが妙に大人しく､みんな気まずそうにしている｡（ちょっとﾊﾞﾚﾝﾀｲﾝﾃﾞｰの朝に似てる）




特に女子は恥ずかしそうに俯いて座っていて､俺とﾖｼは朝教室に入るとそんな女子の顔を順番に覗きこむというのが



ぎょう虫検査の朝の風物詩であった｡





当時､俺とﾖｼなどのｱﾎｸﾞﾙｰﾌﾟはぎょう虫検査のﾌｲﾙﾑを｢ｱﾅﾙｼｰﾙ｣か｢ｹﾂｼｰﾙ｣と言ってて



他の同世代が｢ﾋﾞｯｸﾘﾏﾝｼｰﾙ｣に夢中になってた頃､俺たちは女子の｢ｱﾅﾙｼｰﾙ｣に関心をよせていた｡



当時､俺のｸﾗｽには､R子と言ってｱｲﾄﾞﾙみたいなｶﾜｲｲ子がいた｡



実は､毎回､ぎょう虫検査をしながら

（今頃､R子も恥ずかしい恰好でぎょう虫検査を･･･）

って密かに興奮していたのである｡



朝から恥ずかしそうにしているR子には、ついつい大仏の半眼のような目でR子のﾗﾝﾄﾞｾﾙの中にあるはずの｢ｱﾅﾙｼｰﾙ｣を透視しようとしていた｡



今までR子の｢縦笛｣や｢上履き｣｢ﾌﾞﾙﾏ｣などのｱｲﾃﾑには色んなことをしてきた俺達だけど､


｢ぎょう虫検査ﾌｨﾙﾑ｣なんてﾚｱなｱｲﾃﾑは稀少価値が高くR子ﾏﾆｱからしたら喉から手が出るほど欲しいｱｲﾃﾑであった｡



一度、保健室にR子のｱﾅﾙｼｰﾙ強奪計画も企てたことがあったが未遂に終わった｡


未遂で本当に良かった。




さて､そんなぎょう虫検査が終わった数日後のこと｡




担任から俺を含めたｸﾗｽの数人が｢運動会の準備｣ってので職員室に呼ばれた｡



その頃､運動会の生徒委員みたいなのに俺を含めたｸﾗｽ数人が任命されていて､

入場の時に旗の四隅を持つ開幕式の行進の流れを説明するって話を聞くために集められたのだった｡



すると､担任の先生は職員室に集まったﾒﾝﾊﾞｰのうちから



｢○○君と○○さんは保健室に行きなさい｡｣

男子１名と女子１名が保健室に向かった｡



保健室に行った２名は体育委員では無かったから､何で職員室に呼ばれたのか不思議だったけど


まさか､この時は､ぎょう虫検査の｢保菌者｣として呼び出されたとは想像もしなかった｡




しかし､ｸﾗｽではもっと想像もしない出来事になっていた｡




後から聞いた話ではあるが､俺たち体育委員が職員室で開幕式の説明を先生から聞いてる間に


保健室から薬をもらって先に教室に帰ってきたいちびり（お調子者）の男子生徒が､目立つﾁｬﾝｽとして美味しいと思ったんだろう｡



｢うわｰ！！俺はぎょう虫やわｰ！！｣と


おどけながらｶﾐﾝｸﾞｱｳﾄしたという｡



ｸﾗｽ中が騒然としたそうである｡



担任の先生としては､運動会の委員とぎょう虫検査に引っ掛かった生徒を一緒に呼び出すことで

全員が｢運動会の委員｣としてしてｶﾓﾌﾗｰｼﾞｭしたいという配慮だったと思うのだが




このｱﾎ男子生徒のおかげでｸﾗｽ全部に


呼び出された全員が｢運動会の委員｣ではなく


呼び出された全員が｢ぎょう虫の保菌者｣という逆にｱｶﾝ方向で誤解を受けてしまったのである｡



何も知らない俺は次の日の朝に


ﾖｼから心配そうに顔を覗き込まれ


｢いつから､肛門が痒かったん？｣ってﾆﾔﾆﾔされ


別の仲間からは


｢大丈夫！ぎょう虫でもずっと友達やから｣


って妙に遠くから慰めの言葉をかけられた｡


寝耳に水の俺は､知らない間に､ぎょう虫の｢ｷｬﾘｱ｣にされていたのであった｡