俺の古くからの友人に、このご時世に会社から独立して起業をしたＹ君という男がいる。


昔からものすごいケチな男で、起業してからも何かとそういう名残があって


「経費で落ちるから！」

と言っては自分で払ったわけでも無いのに、何でもかんでも領収書を要求しまくる。


まぁ、社長だしお金にルーズな人間よりしっかり者と言えばしっかり者なんだろうけど



…めんどくさくてしょうがない。




エロ本買っても領収書もらって




但し書きに「オカズ代」

とか書いてもらってても驚かない。




さて、このＹ君、最近、彼女と別れたらしい。



しかもそれが酷い別れ方で、



どうやら彼女が浮気性だったらしくて、Ｙ君の他に３股くらいかけてたんだって。



その浮気が判明して彼女に逆上されて「フラれる」格好になったという。



事業を軌道に乗せて彼女と結婚する！って一生懸命頑張ってただけに相当ショックを受けたようで



ずっと酒飲みながらサメザメと泣いてる。




男のくせに失恋ごときでなんば泣いとるかっ！


って思うかもしれないけど



女に裏切られたりして、泣いてる男は意外と多く直面した。むしろ、女よりも。




よくテレビや映画ではだいたい失恋の被害者って「女」が描かれてるやん。


悪い男ばっか出てきて。



ただ現実社会で、男と女はどちらが悪いのかと言えば



俺は女だと思う。




いいかえると男は純粋無垢な生き物なのだ。





男は子どもの頃から、死ぬまで



「ウンコ」と「チンコ」の話大好きだ。



生まれてから死ぬまで男は平均して、３兆1800億くらい「ウンコ」と「チンコ」というワードを発している（りょうま調べ）



どんな男でも「ウンコ」や「チンコ」の話になると、目をキラキラ輝かせた少年の顔になる。




むしろ「ウンコ」や「チンコ」以外の男の会話はどこかに利害関係があるやましい話しかないと言っても過言ではないだろう。




爺ちゃんが孫を膝の上に乗っけて年齢差を超えた男同士による「チンコ」の話。



美しいじゃないか。





一方の女同士の会話に耳を立てて聞いてみると



「○○のチーズケーキが美味しかった等スイーツな話」


「エステでこんなに奇麗になったとかの美容の話」


「可愛いアクセサリーや雑貨店の話」


「ネイルやブランド物のファッションの話」



ガールズトーク、まぁ、いいんだけど




このガールズトークから人間としての誠意みたいなモノがまったく感じられないのである。




まるで自分たちが男が愛してやまない「ウンコ」や「チンコ」とは無縁の世界で生きているのでございます的な欺瞞を感じるのである。




お前達も「ウンコ」や「チンコ」の話をしろと。



酔っぱらってウンコをもらした話や


色んなモノで試したオナニーの話とか



自分を切り売りするような自虐的な話を目と目を見て、膝と膝を突き合わせて会話してこそ


初めてそこに人間同士の「信頼関係」が成り立つんだと思う。




そういう意味では「ウンコ」や「チンコ」の話が大好きな男は、女に比べて常に人を受け入れようとする、向き合おうとする姿勢があることは明確だと思う。



だからこそ騙されるのである。



男は女より純粋無垢だから。



男は女に対する幻想を捨てるべきだと思う。




女が「男は浮気する生き物」と、ちゃんと内心で覚悟しているのに対して



男は「女は浮気はしない。ましてや俺の女が」



これが純粋無垢な男が持つ女に対する幻想なのだ。



女も浮気はする。



男がするように女もする。


男みたいに性欲だけで動かないぶん余計に複雑なのだ。



そうしてＹ君は幻想を打ち砕かれて、サメザメ泣いてるのである。




「まさか女が浮気するなんて・・・」



「でも、お前も浮気はいっぱいしてたやん？」


Ｙ君は一瞬、ハッとした顔で俺の顔を見た後




「男はそらするやろうけど…女は普通しないやろ…」

女の幻想から覚めてまたＹ君はサメザメ泣いた。




ひとしきりＹ君が泣いた後、気がつけば「ウンコ」と「チンコ」の話で、今度は咽るほど笑いあった。



それでいい。




俺たち男はずっと「ウンコ」や「チンコ」の話をして一生、純粋無垢なままでいようではないか。



たまにオッパイの話も交えながらな。