ここ最近､急に寒くなりだしたから､昨晩から何だか体がだるく俺には珍しく風邪を引いたようだった｡




やばい全然､食欲がない･･･




中年のｵｯｻﾝになっても､お昼時はﾂﾊﾞﾒのﾋﾅのように腹が減ってﾋﾟｰﾋﾟｰ鳴くお腹も静かだ｡




｢風邪は食って治せ｣というのが昔からの俺の治療法｡


ﾆﾝﾆｸたっぷり入れた焼き肉食って栄養付けて､適度に体内消毒（酒で）して寝るのが鉄板であった｡



しかし全然食欲がわかない｡




来月から忙しくなる。

今､へばってしまうと大変なことになるので､何か無理にでも口に入れようと､とりあえず天満にある立ち食いｳﾄﾞﾝ屋さんに入った｡



中に入ると､まぁまぁのお客｡



俺は入ってｶｳﾝﾀｰの奥の一番端っこに立ってｷﾂﾈｳﾄﾞﾝを注文した｡




店は､うどんを作っている店長らしき４０代の小太りの人と､器を出したり注文を聞いたりするｱﾙﾊﾞｲﾄの年取ったｵｼﾞｲさん｡




ｱﾙﾊﾞｲﾄのｵｼﾞｲさんは相当ﾄﾞﾝくさい人なのか､俺が店に入った時から､店長に何やらﾌﾞﾂﾌﾞﾂと小言を言われていた｡



俺の前にｷﾂﾈｳﾄﾞﾝが到着｡



とりあえず割り箸を割るが･･･




（うう････全然食いたくなぁい）



よほど体調が悪いのか､普通はあんなにﾂﾙﾂﾙ食えるｳﾄﾞﾝでさえ喉を通らない｡





しかし俺､がんばった｡




器の中には汁とｳﾄﾞﾝがあと少し｡



（正直､もう食えない･･･）



だけど食べ物を残すことに罪悪感を感じる俺は､食べきってしまおうと気合を入れた｡



これは一気に水で流し込もうと､入口側のｶｳﾝﾀｰにあるｾﾙﾌｻｰﾋﾞｽの水ｺｰﾅｰにｺｯﾌﾟを持って汲みに行った｡





ここで事件勃発！！！





水を汲んで戻ってきたら､俺の食べかけのｳﾄﾞﾝの器をちょうどｼﾞｲさんが片づけてるとこだった｡




恐らく俺が帰ったのだと勘違いしたのである｡





ｼﾞｲさんは俺の顔を見て｢あっ～！｣って叫んだ｡

かなりやっちまった顔をして｡





いや､内心は､俺はｼﾞｲさんに感謝していた｡



（ありがとう！もう食えないとこだったの｡ｼﾞｲさんのおかげでｳﾄﾞﾝを残して帰るふんぎりがついた）





｢ああ！いいですよ､帰りま･･･｣と俺が言いかけた瞬間




｢お客さんすいませんでした～！！！！｣

ってｼﾞｲさんがでかい声で俺に謝ってきたのである｡




周りの客は一斉に俺を見る！



騒ぎを聞いた店長が､ｼﾞｲさんに向かって鬼の形相で叫ぶ




｢お前！！何をやらかしとんじゃｵﾗぁ！！！｣



｢ひｰ､すいません､すいません･･･｣




俺は高齢の方が怒られてる姿を見るだけで非常にいたたまれない気持ちになる性分なのである｡



鬼の形相の店長は笑顔で俺に向きなおり



｢お兄ちゃん､ごめんね､“新しいの”すぐに作るから待ってて｣




｢！！！！！！！｣




ﾏｼﾞ？

勘弁してくれもう何もいらないぞ俺は｡



かと言って





｢いや､もういりません｡帰ります｣

↑
これ､完全に怒った客のﾘｱｸｼｮﾝやんな｡




これで俺が帰ったら


後からｼﾞｲさんが鬼の店長からの折檻が待ってると思うと可哀そうすぎて･･･ただでさえﾀﾞｼにされそうなほど細いｼﾞｲさんで･･･




体調が悪くてうどん一杯と格闘してた俺が





なんだかんだで




まさかのおかわりに挑戦！！！！









もう俺､がんばったな～｡




ぶっちゃけ鼻から2本くらいｳﾄﾞﾝが出そうやったもん｡（いや出てたかもしれん）



何だか香川県出身の友人に電話して怒鳴りつけたい気分になってきた｡




で､例によって水で流し込む作戦で､今度は横目でｼﾞｲさんを警戒しながらｺｯﾌﾟと器を持って水を汲みにｗｗ




で､あｰだｰこｰだと時間をかけて


うどん2杯完食！！！！！



いやｰ！がんばった｡




帰りのﾚｼﾞで申し訳なさそうに､ｼﾞｲさんと店長が頭を下げてきた｡



｢2杯食えてﾗｯｷｰやったから､店長もうあんまり怒らんとったってな！｣と言ったのに､


ﾉﾚﾝをくぐったら後ろからｼﾞｲさんをなじる店長の怒声が聞こえた｡



ｼﾞｲさん､どんまい｡






んで風邪の方なんだけど




おかげで体調はばっちりっす｡






やっぱり食って治すにかぎる｡




もうｳﾄﾞﾝは当分見たくもないけどな｡