ある表現者の女性[わーい(嬉しい顔)][グッド(上向き矢印)]
40代前半  大阪府
2013/05/27 1:22
ある表現者の女性[わーい(嬉しい顔)][グッド(上向き矢印)]

うちの職場の近くには下町風情があふれる商店街があって





特に何を買うってことでもないのだが、気分転換がてら意味もなく商店街の中をブラブラするのが日課となっている。





今日も暑かったので、商店街のお店で買ったキンキンに冷えた冷し飴を片手にふらふらしてたら




何やら歌声が聞こえる。





どうやら商店街の組合が主催してイベントを催しているようで、簡単に作られた会場(小さいスペースにパイプ椅子が並べられたもの)でミニコンサートが開かれていたのである。





俺は脚を止めて見入ってしまった。




すごいのである。




女(ボーカル)と男(ギター)のユニットである。


男女のユニット自体は珍しくはないのだが・・・






ボーカルの女の子は20代前半だろうか





黒いロングヘアーに白のワンピース姿。今風のモデルと言ってもいいほどスラっとした美しい女の子。





そしてギターを抱えた男は…











ご老人なのである。







お爺ちゃんなのである。



まったく誇張でも無くおじいちゃん。





枯木のような老人がバンダナを巻いて杉ちゃんのよな袖の無いGジャンと短いGパンをはいて



くの字に曲がった体でガッドギターといわれるクラシクギターを抱えているのである。





本来、大阪でも、こんな派手なルックスにギターを抱えたこの種のご老人がいるのだが





だいたいは大御所と呼ばれる芸人さんで、



ノコギリで音を出すバンドとか、逆モヒカンで踊りながらアコーディォンを引くバンドの端っこにいる系の人である。



だいたいギターを弾いた後は大きなハリセンで叩かれるか、ゴムパッチンされる損な役割の人が本来の俺のイメージである。




ところが、俺の見た老人はれっきとしたミュージシャンであった。




20代の女の子とのユニットで、ちゃんとプログラムにはユニット名も表記されていた。





そして何が驚いたのかというと





もう二人の歌声が素晴らしすぎたのである。






伸びがあって澄んだ声の女性ボーカルに、お爺ちゃんの完璧なハモリとギターテクニック。






その見た目のギャップに後ろにひっくり返りそうになった。





俺が通りがかった時、二人が歌っていたのは




中島みゆきの「糸」という歌であった。





俺は足を止めて見入るというより魅入ってしまい、「糸」を聞きながら不覚にも熱いものが込み上げてきたのである。




パイプ椅子には、下町の商店街らしく近所のお爺ちゃんお婆ちゃん達が占領していて、まったく揃っていない手拍子をしながらホケ~っと見ている。




しかし、周りには俺を含めて



足を止めて見入るサラリーマンやOLや主婦



少し離れたとこに目に涙を浮かべた女子高生なんかもいた。




二人が圧巻のパフォーマンスなのである。





なぜ、こんな若い女性(ボーカル)がパートナーに老人を選んだのか?



なぜこの老人がこんな若い娘と組んだのか?



なぜ?こんなアンバランスな二人が・・・?




疑問に思うかもしれない。




だけど二人の歌声を聞くと妙に納得できた。





彼女にとって、ご老人にとって自分たちの表現者としてのパフォーマンスを発揮するために選びあったんだと…




素晴らしいではないか。





自分の力をより輝かせるために、相手の年齢やルックスをモノサシにせず素直にコンビを組んだ。





大袈裟な表現かもしれないけど、そこは世代を超え表現する場所も選ばず、二人のミュージシャンの魂の融合を垣間見れたのである。





これだから表現者は楽しい。


素直にそう思う。





すっごい長い前置きになったけど



週末にある女性と一杯ひっかけた。





彼女は元舞台女優。





遅いスタートだったらしいが、上京までして努力を重ね、東京でも仕事として舞台に立つことができた数少ない遅咲きの女優である。




だけども舞台一本で生きていくのは難しかった。





自分の好きな世界だけで飯を食える人は、本当に一握りだけなのである。





大多数の表現者は才能がありながらも、様々な客観的状況によって志半ばで夢を諦めざるを得なくなった人は五万と存在する。




彼女もそんな一人であった。




「もう女優はしないの?」




「色んな事で悩んで葛藤して夢を諦めたから・・・」刹那的に彼女は笑う。






ただ、




グデングデンに酔っぱらってた俺だったが、一見して刹那的にも見える彼女の眼の奥に残っている光は見逃さなかった。







彼女はいつかきっとやる。(たぶん)





もしかしたらもう一度、大勢の観客の前で華やかな舞台の上で、眩いスポットライトと歓声を浴びるかもしれない。




もしかしたら商店街で見た少女と老人のミュージシャンのような場所でなのかもしれない。





自分が輝ける場所と伝える相手は変わっても、一人一人というレベルに与える感動は同じなんだと思う。





世代は俺と変わらないのに舞台の話や、昔話になると少女のように目がランランと輝いていた。







これだからやっぱり表現者は楽しいし、愛してやまない。










今度、彼女に会うときは俺が見つけてきた下町の才能あふれる「お爺ちゃん俳優」との二人芝居を勧めてみようと思う。


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コメント

40代前半  大阪府

2013/06/01 1:46

18. >アイラさん

マジで?

あと100回くらい女性に言おう。

んで、色んな意味で「やられた!」って言われよう。

40代前半  大阪府

2013/06/01 1:43

17. >コモモタローさん

縦と横だけじゃなくて、色んな方向から重なり合う網の目が人生の出会いやと思いますね(o^^o)

出会いって素晴らしいですな!

40代半ば  大阪府

2013/05/30 15:02

16. 自分が輝ける場所と伝える相手は変わっても、一人一人というレベルに与える感動は同じなんだと思う。

↑圧巻の二行でした(涙)
、、、やられた

18-19歳  兵庫県

2013/05/29 8:33

15. 初コメ失礼しゃっす(>Д<)ゝ”

ふとした所で見つけた素敵な物事って
心揺さぶられますよね~♪

年の差ユニットの巡り合わせも、
元舞台女優さんが華を咲かせられる場所も…

中島みゆきサンの『糸』の歌詞を思わせるような
【出会い】なんだなぁって思いました。

『逢うべき糸に 出逢えることを 人は 仕合わせと呼びます』

通りすがり失礼しました(´∀`)

40代前半  大阪府

2013/05/29 0:29

14. >たかしちゃんさん



お爺ちゃんと孫だったら美談やけど、

恋人どうしやったら・・・俺達のようなその筋の人間ならその話題だけで何杯でもごはんが食べれるなw

40代前半  大阪府

2013/05/29 0:27

13. >みぃさん


お爺ちゃんユニットすごかった。
ルックスと歌声のギャップから放たれるインパクトはハンパないから商店街を歩く時は注目ね(*^。^*)

たしかに!

ニコ生なんか個人で生放送できるんやから、自己表現の場は確実に広がってると思うw

50代前半  大阪府

2013/05/28 0:07

12. その御老人と美少女が、どこでどう知り合ったのかはわからないけど、お祖父ちゃんと孫だとしたらそれはそれで素晴らしいな。

んで、実はコミックバンドでお祖父ちゃんがハリセンでどつかれたりしたら、美しい歌声とのギャップで余計に感動するかもね。

40代半ば  京都府

2013/05/27 21:41

11. その美女とおじいちゃんのユニット聴いてみたいです>_<

活躍できる方は一握り…とは言え、最近はYouTubeなど幅広くのネットユーザーが利用する無料動画などで、今までスポットがなかなかあたらなくて埋れてた才能を持った方々が活躍できる幅が増えましたね。

40代前半  大阪府

2013/05/27 18:14

10. >紫苑ちゃまさん

ワクワクするよな(o^^o)

俺は陶芸家に影響受けすぎて、山で自給自足の生活を真剣に考えたけど(コンビニないから五時間で諦めた!)

40代前半  大阪府

2013/05/27 18:11

9. >みーさん

うん。正直、負ける気がまったくしない( ´ ▽ ` )

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