俺は悩んだ時、凹んだ時こそ引き籠らず外に出るべきだと思う。






と言うのも、俺はシンクロニシティというものを信じている。







シンクロニシティ（意味のある偶然の一致）の意味は、全く関係のない「心と物」が偶然、共振（シンクロ）することを言う。





特に何かの問題に直面していて、最善の答えを導き出そそうと考えている時に顕著に現れるという。





有名な元総合格闘家須藤元気は、試合に負けた日これからどうしようかと悩んでいた時、




トイレに書いてあった｢一歩前へ」という張り紙を見て「引退」を決意した。






その「一歩前」への本来の意味は、おしっこを便器からこぼさいよう注意を促すものであるが




悩んでいた須藤元気にはその「一歩前」が人生のメッセージに思えた。






その一歩前のメッセージが「引退」という答えで正解だったのかどうかはわからないが






格闘技を引退した須藤元気は現在、ダンスパフォーマンスグループを作って

今や世界的に注目を浴びる存在になっている。






んなもん偶然やろ？って言えば偶然なのだが





俺は何だかこの手の類は信じてしまうし意味を見出してしまうのだ。







そして俺もシンクロは頻繁に遭遇する。






実は俺も悩んでいた時期があった。






仕事について今までフリーという立場で好き勝手に生きてきた俺が


あることがきっかけで組織に属するようになった。





一人だと何でも自由でいいのだが、チームになるとそうはいかない。




まず必要だったのは後輩やチームメートに対する指導である。





時には徹底的なダメ出しもしなくてはならなかった。





だけども、その後はいつも「自己嫌悪」に陥っていた。





俺が偉そうに人に言える立場なのだろうか？






たまたま立場が上だから言わなくてはならないだけで本当は言いたくないこともある。






誰だって嫌われたくないものな。






俺が完璧な人間なら、きっと言ってもいい発言なのかもしれない。






だけども俺もダメ人間なのに、ダメな人を叱ってもいいのだろうか…




意外と繊細な俺は、誰かを叱った後は


ベッドの上でゴロゴロと眠れぬ夜を過ごしたのである。






そんなもんもんとした日常を抱えていたある日のこと。





商店街をブラブラ散歩してたら



ある店舗から俺の目に飛び込んできたのは




「割れた窓ガラスの出張サービス致します」


というポスターだった。




シンクロである。






須藤元気のようにそのポスターの意味から

何かを感じたのではない。







そのポスターが貼ってある窓ガラスが、






バリバリにひび割れていた。










人ん家のガラスを修理する前に



なぜ自分のガラスをおなぜ治さないのだろうか？





その帰り道。





同じく商店街の違う店舗の前で鉢巻にハッピを着込んだ販売員の青年がメガホンを片手に叫んでいた。




どうやら最新のコンタクトレンズがセールをしているようで




いかに今のコンタクトレンズが優秀なのか素晴らしいのかと看板と販売員が謳っているのだが






その販売員は




メガネをかけていた。




しかも大木凡人みたいなベタなやつ。







そんなにコンタクトを進めるなら


なぜ君はコンタクトレンズにしない？




そうして俺は２つのシンクロによって




救われるはずもなく、大いに笑わせてもらった。




ただヒントはあったな。




「うちのガラスは割れていてもお前のガラスは治してるぜ！！」





「俺はメガネだけどコンタクトを販売して何が悪い！！」








人間完璧な人はいない。





「俺もダメだけど、お前もダメと言って何が悪い！！」である。




自分を棚に上げて、上からの目線ではなく



ちゃんと自分のｱｶﾝとこを自己認識しつつ（ここ大事）、その上で後輩をしっかり叱る。




その叱ったことは自分に返し、ちゃんと総括する。



青臭く言えば「一緒に成長」である。






「自分もダメだから何も言えない…」では何も進まない。



「自分はダメだからこそ言ってやる！！」



ダメなやつほどダメなやつのことはよくわかるのである。





そんなこんなでそんなスタイルでやってくと



いつの間にかいいチームになっていったのである。





ガラス屋とメガネの青年がどう思ってたのかは、わからない。