香りの記憶｜ワクワクメール

香りの記憶

俺は鼻がきく。

少しでも異臭がすると、

仲間内の中でも、真っ先に

「誰や屁こいたん！！？」

と騒ぎだすタイプだ。

何人たりとも俺の前では、コキ逃げはさせない。

さて、香りの話。

俺には香りの記憶なるものがある。

明確な香りの記憶といえば

やっぱり昔別れた彼女の香水の香り。

女性とすれ違った時、元彼女と同じ香りがしたら思わず立ち止まり振り返ってしまう。

その香りの余韻にひたりながら、彼女との楽しかった思い出や甘酸っぱい記憶が次々にフラッシュバックしてしまう。

あと夕方くらいに下町を歩いていると各家から漂う夕飯時の料理の香り。

その香り＆夕焼けの風景とあいまってか、いい記憶が蘇る。

幼少期は、家庭の事情があって、オカンと離れ離れに暮らしてた。

だけども、たまに帰ってくる時があって、その時はハンバーグを作ってくれる。

夕暮れの家庭から香る料理の香りは

友人と遊んだ後に、オカンが料理を作ってくれている家に嬉しくて嬉しくて、急いで走って帰る。

そんなノスタルジックな記憶を思いださせてくれる。

一方で表現できない香りもある。

例えば夏の夜にたまに感じる空気の香りが妙にウキウキ、ドキドキさせる。

恐らくこれは夏祭りの夜の空気に似ていて、その記憶が俺に高揚感を与えるんだろうな。

そして不思議な香りもある。

街を歩いていると、これまた表現しできない香り。

その香りはふいにやってくる。

なんだか寂しい気持ちになってぎゅーっと胸が締め付けられる。

ひどい時は、涙が溢れそうになって鼻の奥がツーンと痛くなる。

悲しい記憶なのか、楽しい記憶なのかはわからない。

その香りがしたら、その場で立ち止まり、涙がこぼれないように正体不明のノスタルジックな感情が抑まるまでグッと堪えるのだ。

思い出したいような、思い出したくないような…そんな記憶である。

五感の中でも嗅覚だけは、大脳辺緑系（古い脳）で処理されるんだって。

だから、ある特定の香りで記憶を呼び覚ますプルースト現象ってことが起こると言う。

嗅覚って不思議なもんやな。

ちなみに、俺のオッパイ好きは

「授乳されていた時の乳やオッパイの香りの記憶があるからちゃうか？」って指摘されたことがあるが

俺の場合はオッパイを目の前にしたら

鼻息が荒くなって

嗅覚は機能していない可能性がある。

俺のオッパイと好きとプルースト現象はまったく因果関係はない。