冬美の悲しすぎるクセ[ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)]
40代前半  大阪府
2013/08/26 2:10
冬美の悲しすぎるクセ[ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)]


自分が自覚していなくても何らかの変な癖を持ってる人は多いと思う。





癖って育ってきた環境や、その人の性格、今の心理状態を表していたりする。




俺はそんな人の癖を見て勝手に分析してニヤニヤするのが好きなのである。





例えば一例だが癖から見る心理学で以下の通り分析できるという。





▼鼻をよく触る人は『ウソをついている』



▼飲み物のカップを両手で持つ人は、『頑固者』



▼女性の首を傾げるしぐさは、『脈ありサイン』



▼髪を指に巻きつける人は、『自己中心的で甘えん坊』



▼口に運ぶ食べ物を確認する人は、『ストーカーになりやすい』



▼「要するに」が口癖の人は、『仕切り屋タイプ』






今から10年くらい前の話。





俺は20代半ばだった。






中学時代からの同級生A子に合コンをセッティングしてもらった。





そこの参加者に冬美(仮名)という女が参加していた。






冬美は18歳。





ルックスの素材は悪くないのだが






化粧っ気はまったく無く髪は金髪がプリン状態になったボサボサヘア




口数は少なく、話したと思ったら汚いタメ口。






一番驚いたのは食事の食べ方。






スプーンやフォークを山賊のように鷲掴みして、テーブルのお皿に顔を近づけ犬食いをしていた。






「な、なんて行儀の悪い女や・・・」





我々、男性陣はドン引きをしていた。





「お前アレなんや?」

不満な顔をわざと作って俺はA子に耳打ちをした。






A子は「お店(水商売)のバイトの子!変わってるけど根はいい子やで」という。





合コンがお開きになり、A子と親友のヨシで当時独り暮らしの俺の部屋で飲みなおそうということになった、





…そこになぜか冬美も参加。






しこたま飲んで、A子とヨシもフラフラになっていた。






二人が「帰るわ!」ってことになったので、






俺のベッドで寝ている冬美を連れて帰るようにA子に言うと




ベロベロに酔ったA子は「ええがな、ええがな」とヨシの肩を借りながら千鳥足で出て行った。







・・・・・・







独り暮らしの俺のベッドで寝ている18歳の女。






ともあれ






これはセックスである。









20代半ばの健康な男である。



多少行儀が悪くても、セックスする相手としては不足はなかった。







そして鼻息荒くシャワーを浴びて、「いざ参らん!」と冬美に近づくと




俺はギョっとした。







冬美は赤ちゃんのように体を丸め、





自分の親指を吸って寝ていた。







「・・・・?」






18歳の女が赤ちゃんの寝方そのままの姿で寝息を立てていたのだ。





その姿を見ていると襲うのが何となく忍びなくて





俺も酔っていたこともあり、結局、その夜は指ひとつ触れることなくそのまま床に寝伏してしまった。







朝に二日酔いの頭で目が覚めると、冬美はいなかった。





その時は「惜しいことしたなぁ」って地団駄踏んだのは覚えている。




ところが会社から帰ると、ドアの前に冬美が立っていた。






「また遊びにきた」と冬美






今度こそセックスである。







だけども、やっぱり親指を吸いながら寝ている姿を思い出し



またその姿を見て襲うことに躊躇してしまうのだった。





冬美は俺が手を出さないって思ったのだろう(本当は違うのにな)





そこからしょっちゅう冬美は俺の家に泊まりに来た。






基本的にヨシやA子をはじめ色んな奴が俺の部屋に来て泊まったりするから、


冬美に関しても特に気にせずに放置していた。






ただ相変わらず飯の食い方が汚く、赤子のように親指を吸って寝る。





携帯電話も持っていなくて、どこに住んでるのかもわからん




猫のようにふらっと去っては再びふらっとやってくる不思議な女だった。





そこでA子を呼び出して冬美の話を聞くことにした。







話を聞いてやっぱりと言うか何というか




家庭環境に問題のある子だった。








父親は物心ついた頃からある事件を起こし服役中。




母親はその父親から相当きついDVを受けてたらしく



父親似の冬美は常にキツくあたられていた。




父親が服役してからの母親の冬美への仕打ちはエスカレートし


それは聞くだけで胃が痛くなるほど壮絶なものであった。






一方で弟だけは溺愛していたそうで




冬美は残飯のようなモノを食わされ、木の定規で殴られる毎日




「お前なんか生むんじゃなかった。お前が生まれて家がおかしくなった」





毎日、この罵声を母親に浴びていたそうだ。





そして高校にも行かず家を離れて男や友達の家を転々として、A子のお店にバイトで来るようになったという。





やっぱりそうか。





汚い食べ方をするのは、



親から躾をされていなかったから―





親指を吸うクセは誰にも愛されなかったから―






その話を聞いてからと言うもの



何だか俺に父性本能のようなものが芽生えてきた。






地元の仲間で行く恒例のキャンプや飲み会とか俺が行くとこに全部、冬美も一緒に連れて行った。





飯の時はスプーンの持ち方を教育した。





箸の持ち方は俺もおかしいらしく、それは二人で試行錯誤した。





俺が今まで体験した色んな話をした。





親指吸いは夜中に抜いても、再び吸ってるのでこれはどうしようもなかった。




そうして冬美は3か月くらい俺の部屋に出入りし




いつしか俺を「兄ちゃん」と呼びようになり、兄弟のいない俺もまんざらな気分じゃなかったのである。





そして俺以外のヨシを始め仲間達も冬美をかわいがってくれていて





気がつくと、だんだんよく笑う女の子になっていた。







だけどもそんな俺にも合コンで知り合った彼女ができていた。






そうなるとさすがに冬美の存在は何かとアレになりかねない。








「冬美な俺、彼女できたからな・・・」



遠まわしに、もうあんまり家に来るなと伝えたのである。








「そう…わかった・・・」




意を察してくれた冬美は、ヨシをはじめ俺の仲間が来る時だけ一緒に遊びにくるようになり



一人で来ることは無くなった。






そして、来る頻度が少なくなり


やがてぷっつり姿を見せなくなった。








気になったのでA子に冬美の所在を聞くと。




「今は千葉県に住んでる親戚の家にいるみたい」





それから1年くらい経って、


いきなり冬美からメールが来た。





親戚のおばちゃんは優しいだの


今は天ぷら屋でバイトしてるだの



冬美の近況報告だった。






何より元気そうで嬉しかった。





そこからメールでやりとりをしていて



俺が仕事で東京に行った時は飲みにも行った。





食べ方はだいぶ奇麗になっていたが、生意気さは相変わらずであった。





「指まだ吸ってる?」




「わからん」





親指に吸いタコがあったので恐らくまだそのクセは治ってないんやな。






遠距離だがそんな感じで交流を重ね





初めて冬美と出会った合コンから早いもので5年が経過していた。






それは突然だった。





冬美から「結婚することになりました」のメール。





そんな話はまったく聞いていなかったので驚いた。




何よりお金持ちの男との結婚が一番驚いた。








披露宴で冬美は手紙を読んでいた。







当然、空席となっている両親のテーブルに向って



冬実は泣きじゃくりながら手紙を読み上げていた。





手紙の内容は、あんなに苦しめられた



両親への感謝の言葉。




「お父さん、お母さん産んでくれてありがとう」





俺は涙が止まらなかった。






よく愛情を受けて育ったことが無い人が他人を愛せないって話を聞く。





俺は違うと思う。






愛情を受けてこなかったからこそ、当り前のように愛されてきた人よりも、愛情の大事さを知り誰よりも愛情深くなれるんじゃないかと俺は思う。





冬美幸せになりますように。





そして、俺も仕事がめちゃくちゃ忙しくなって




あんまり冬美と交流する機会が持てなくなってしまった。







そして先月、数年ぶりだろうか冬美からメールが来た。








「結婚することになりました」







うん。


そう。



2回目の結婚なの!






結局、最初の結婚は1年持たなかったw



お金持ちだけどDV癖のある旦那と、子離れできない姑が原因。





「今度の相手は優しいだけの平凡な田舎者w」




「そーか!お前にはちょうどええわい(笑)」









今も指は吸ってるんかな?





できれば夜は指ではなくて旦那となる人のチンコをずっと吸っときなさい。





人のクセって面白くて



なんでそんなクセをするようになったのかを分析すると楽しい。







だけども



鼻毛を抜いてはスマホの画面にペタペタ張り付けていく



ヨシのクセだけは今もまったく理解できない。





ともあれ、今度こそ冬美が幸せになりますように。





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