いくつか俺よりも歳が上で仕事の先輩だったＹちゃんって女性がいる。




今は独立して東京で住んでいる。




大阪にいる当時で、30半ばの独身。



ずっと年上で先輩だけど「ちゃん」付けしても怒らないからずっと「Ｙちゃん」って呼んでタメ口で話してる。




当時から「Ｙちゃん結婚しないの？」って聞いたら




涼しい顔で




「私はキムタクと結婚するって決めてるから」

といつも言っていた。





そのＹちゃんと先日、東京で久しぶりに会った。






まだ独身だった。





「Ｙちゃんまだ結婚してないの？」って聞いたら






以前と変わらぬ涼しい顔だったが、







「私は松坂桃李と結婚するって決めてるから」


に変わっていた。






女性のコレはどこまで本気なのだろうか。





Ｙちゃんの顔は冗談とも本気ともとれない顔なのである。





「りょうま！もし松坂桃李と接点あったら、すぐに私に電話して紹介するように！」




あまりにも傍若無人なＹちゃんの発言に思わず最近、出会った熟女好きのモンゴル人力士を紹介してやろうかと思った。






さて好きな相手は芸能人。






芸能人と一般人の結婚や恋愛できる可能性は極めて低い。






だけども地球上で暮らす男女である以上、可能性はゼロではない。







好きな芸能人を雲の上の人として憧れ続けるか、


それとも周りから痛いと思われようが芸能人をガチの恋愛対象として狙い続けるかは、その人の自由と言えば自由なのだ。







今から数年前の話。




当時は無名のグラビアアイドルのユニットと仕事をしていたことがある。





無名とは言え、そこそこファンが付いていて撮影や収録なんかあると、どこから情報を聞きつけたのか、わんさか追っ掛けファンが現れていた。





そのファン達に彼女たちはニコニコと手を振りながら愛想を振りまき



「ありがとうございます」と頭を下げる。





そして彼女達が車に乗った瞬間





「うげー！マジ気持ち悪い！！」




本当に女って悪口のボキャブラリーが豊富。



これでもかってほどの罵詈雑言をファンに浴びせていた。





ただ気持ち悪い奴が多かったというのも事実。




肩に無気味な人形を乗せてずっと喋ってる奴もいたし




めっちゃ近くなのに双眼鏡ごしでしか彼女達を見れないやつとか




ハァハァ荒い息を吐きながら


「これ食べて下さい」って差し入れを持ってきたファンもいた。


何と手にしていたのは＂手作りのオニギリ＂だった。








「誰が食うかよ気持ち悪い～！！」




「それ、絶対にぶっかけられてるよ精子！！」



「ええ～やめてマジで気持ち悪い、ありえないんですけど！！」



「ちょっと聞いて！こないだ私のファンの○○がさぁ！」





車の中で気持ち悪いファンの悪口を言い合うのも、彼女達のストレス解消の一つであった。






ある日のこと。




ユニットのリーダー各の一人であるＮちゃん（22歳）が、青白い顔で溜息ばっか付いていた。






これは話を聞いてほしい構ってちゃん女特有のサイン。





普通なら無視するんだが、たまたま話題が尽きていたこともあり、その日の打ち上げの時に「何かあったんかいな？」と聞いてみた。









Ｎちゃんは待ってました！とばかりに話しだした。



「ありえない話だと思いません？・・・」






話を聞くと、たしかにありえない話であった。







Ｎちゃんの芸能プロダクションが「男性部門」を、新設するということで大規模なオーディションを開催した。




そしてある男性ユニットが組まれたのだが







その中のメンバーの一人であるＯ君は








Ｎちゃんの追っ掛けファンの一人でった。






しかもＮちゃんが最も嫌いな男であった。






Ｏ君はルックスはさほど悪くない。


だけども全体から滲み出る不気味さはあった。






ストーカーっぽいというか、独特のネットリした視線で爪先から頭のてっぺんまで見てくるＯ君をいつもＮちゃんは車の中でボロカスに言ってた。





「Ｏ君の目的はＮちゃんに近づくため」



それは火を見るより明らかであった。






Ｎちゃんはさっそく社長に抗議をしに行った。






社長（元ヤ○ザ）は、知らなかったとは言え、事態を重く見て、Ｏ君に異例の「Ｎちゃんに近づかない」という誓約書を書かされたらしい。




そんなものまで書かして事務所に在籍させる理由は、Ｏ君には特殊な特技があって



その特技を売り出したかったからである。







社長の狙いはバッチリだった。





いつの間にか極めて狭いローカルなジャンルではあるが、




Ｏ君はその特殊な業界では知らない人はいないほどの「スター」になっていた。





そして事務所の稼ぎ頭の一人として活躍していた。




その話を聞いて本当に驚いた。







（へえ、あのＯ君が・・・人生何があるのかわからんな…）って思ってら






もっと衝撃的な話が俺の耳に入った。






いつの間にかＯ君、










Ｎちゃんと付き合っていた。







しかも社長公認で！（Ｏ君がめっちゃ稼ぐから上機嫌）






Ｎちゃんのマネージャーからその話を聞いた時は




椅子から転げ落ちそうになるくらい驚いた。









あれほど「気持ち悪い、気持ち悪い」って悪口言ってた女が、Ｏ君が有名になったとたんに手のひらをひっくり返したようにラブラブなんだって。







本当に女って生き物は怖い。






ただしＯ君にとっては、天にも昇る気持ちだったであろう。





雲の上の人として追っ掛けをしていたアイドルと抜き差しならぬ・・・いや、抜き差ししてる関係になったのである。






憧れのアイドルとの初めてのセックスは、ファンととしてどういう気持ちだったのか機会があれば聞きたかったのだが





やがてＯ君のブームはすぐに消え去り、いつの間にかＯ君は業界をさっぱり引退した。








本当にさっぱり辞めていったんだって





もともと目的がＮちゃんに近づくためだったので、
業界にはまったく未練はなかったらしい。







今、二人の関係がどうなってるのかは知らない。






ただ憧れの芸能人との結婚やセックスできる可能性はゼロではないと思った話であった。







「Ｙちゃんも芸能界に入ったらいいんちゃう？」






「ハハハ！私、今から月９女優とかいけるかな？」





「月９というよりＹちゃんなら木曜9時ちゃう？」



渡る世間は～の泉ピン子似のＹちゃん（45歳）と松坂桃李が結婚できる可能性はゼロではない。