たまに街を歩いてたら、めちゃくちゃ不釣り合いなカップルって見かけないだろうか？





なんでこんな美女が、よりにもよってこんな個性的な男を連れているんだ…って。





その逆もしかりだと思う。




世の中には「ルックス」が不釣り合いなカップルが存在するのである。







友達が店長をしている居酒屋のアルバイトでＡ君（３３歳）という男がいる。




友達が高校の後輩という縁で雇っているらしい。




たまに友人が飲み会の時とかに連れてくるのだが、


このＡ君。


彼は自他共に認めるブサイクな男であった。







人の生まれ持った身体的特徴をとやかくは言いたくは無いのだが、朝起きてＡ君になってたら嫌だなあ…って心から思う一人である。






とにかく毛むくじゃらなのに、いつも胸がはだけた柄シャツを着こんでいるので


夏場は汗で濡れた胸毛がいつもキラキラしてて、



酒のアテのもずくに手が伸びない。






コントに出てくるコソ泥のように口の周りに丸く黒いヒゲの剃り跡がある。




一度、Ａ君が酔っ払って飲み屋の「ビア樽」風のテーブルの上に乗って暴れてた時も





どっからどうみてもＡ君が





黒ひげ危機一髪にしか見えなかった。





包丁をいっぱい借りてビア樽に刺したくなる衝動を押さえたのは後にも先にも彼が初めてである。






しかし特筆するのは、その性格である。



Ａ君は顔に輪をかけて


「性格も超ブサイク」

という、とにかく残念な男であった。







聞く話によると２０代の頃から彼の悪評は有名らしく、

合コンなどを設定しても女の子側から「Ａ君だけはＮＧで」という注文が来るほど。






ある日、友達が店長をしている居酒屋でアルバイトをしているＡ君は同じアルバイトの女の子が好きになってしまったそうだ。





遂に「好きだ！付き合ってくれ」と男らしく告白したＡ君だったけど、


告白から２０分後に彼女は行方不明になってしまった。






夜に心配になって友達（店長）が彼女に電話をしたのだが、


「お願いだから辞めさせてください」と号泣しながら哀願されたらしい。




友達曰く


「まるでレイプをされた女の子のように脅えて声が震えてた」




告白しただけなのに恐るべきＡ君の破壊力である。





だけど無駄に前向きで性格の悪いＡ君は




「あの女め・・・休憩の時に出すお茶に精子入れてやれば良かった！」


ってあっけらかんとしていた。



「俺、気になる女に精子とか唾液をけっこう飲ませてるんすよ…ゲヘヘ」


優しく差し出すドリンクや食べ物に悪さをするＡ君。

本当に気持ち悪くなってしまった。





そういう男だから、俺もあまり好きじゃなく、

友達には「Ａ君は連れてくるな！」と飲み会では釘を刺していた。




そんなこんなで数年はＡ君とは会っていなかった。





で、ついこないだの話である。




久しぶりに天王寺の居酒屋でヨシと飲みに行ったら

店の中で数年ぶりにＡ君とバッタリ出会った。





しかも、なんと女連れで！！




何より驚愕したのはその女性が美女…




スラっと足が長くモデルのような…




外国人女性であった。





女優の「ミラ・ジョヴォヴィッチ」そっくりの青い目の美女であった。





Ａ君はまだ居酒屋でアルバイトしてるらしいいので

千昌夫のように金に物を言わせて外国人をはべらかす身分ではない。




せっかくなので少しだけ一緒に飲むことにした。




Ａ君は相変わらずのキモさ。彼については以上。




ミラの方は片言だけど日本語（大阪弁）を話しててすごく性格もよくて可愛い。





彼女は１５歳の頃に日本に来た外国人でどこかの国とどこかの国のハーフ（驚きすぎてよく覚えていない）

一緒にいたヨシも眼を丸くして、Ａ君とミラを交互に見る。




Ａ君がトイレに立った時に、


俺は思わずミラに「Ｗｈｙ？」って表情をしたとたん

　


彼女はこれまで何度も同じ質問をされすぎてんだろう。



俺の表情にみなまで言うなばかりに頷きながら、片言の大阪弁で




「エー？ダッテ、メッチャ、カッコイインヤン」





そのまま後ろに卒倒しそうになった。





今でも国によってはデブであればあるほど美しいという国もある。


インドのハンサムだと言われる超人気俳優は、魚市場の大将のようなルックスである。



日本でも数百年前まではおたふくのような女性が絶世の美人であった。




きっと人の美意識って、時代の流れの中で情報やメディアによって作られたものであると俺は思う。




仮に産まれて２０年間、あらゆる情報を遮断された部屋で育った男の前に、


色んな容姿の女を並べた時にその男はズバリ「美女」を選ぶのだろうか？






美女や美男子はやはり「作られたもの」だと俺は思うし、

その作られた情報が少しでも違っていたら今の日本もＡＫＢやジャニーズが大変な集団になってたかもしれない。




彼女がどこの国で育ったかは失念したが、日本ではダメなＡ君が、その国では逆にかっこいいと思われる国だったのだろうか。






「じゃあ、また！」


Ａ君は汚い顔に笑みを浮かべ俺とヨシに、グーの拳に人差し指と薬指の間から親指を出すアレの形を見せて会計も気にせずにさっさと出て行った。




あの表情は天王寺のホテル街に行ったのは間違いない。




そのあと、俺もヨシも無言になって飲んでたのは言うまでもない。




みんな世界は広いぞ。