俺はお風呂が大好きである。




静香ちゃんなみにお風呂が好きな俺は、いつか牛乳風呂に入ることを夢の一つとしているくらいお風呂を愛している。





家風呂より、サウナのある広い銭湯が好きな俺は、ちょくちょく銭湯に行っては汗や垢を落とし身も心もサッパリさせてビールを飲む。



ストレス解消法の一つである。





ただ俺が愛してやまない銭湯も少し困ったケースに遭遇することもある。





今から10年以上も前の話で、今のようなスーパー銭湯があまりなかった時代である。





夜中に急に銭湯に行きたくなった。


時計を見ると夜中の２時である。




いつも行っている近くの銭湯は、0時で閉まってしまうので、当時住んでたとこから少し離れている２４時間営業の銭湯に行くことにした。




その銭湯は１階がお風呂で２階がサウナという作りである。




浴場に入ると１階のお風呂が俺だけ



「ラッキー！貸し切りやん♪」




まずは広い湯船に浸かって体を温めた。




いつもの流れで言うと、その後はさらにサウナに入って、大量に汗を流し、冷たい水風呂に飛び込む。



至福のパターンなのである。





いい感じに湯で体がポカポカしてきたので、サウナに入ることにした。




２階に上がり外の窓からサウナの中をのぞくと、結構な客がサウナにいた。





（チっ、貸し切りちゃうかったやん…）




サウナのドアを開け中に入ると、俺の目に飛び込んできたのは違和感のある異常な光景であった。





年配の男性が仰向けに倒れていて、二人の男が周りを囲んでいるような状況であった。





よくサウナで無理をした人が倒れる事件があるのだが、倒れた人を助けようと他の男性客が周りに集まっていると思った。




しかし、よく見ると違うのである。





仰向けに倒れている（というか寝ころんでいる）年配の男性のチンコをオッサンが咥えていたのである。




オッサンがオッサンにフェラチオである。




そして入り口ドアのすぐ横には中年同士のオッサンがお互いのチンコを手コキしあいながら、音をビチャビチャ立ててディープキスをしていたのである。




改めて周りを見渡すと男のカップルだらけ



サウナの中は男達の酒池肉林の場と化していた。




人間、頭で想像さえしていなかった信じられない光景を目の当たりにしてしまうととどうなるか。










眠たくなるのである。





俺は白昼夢を見ているかのごとくその場に立ち尽くしたままボーっとしていると、




フェラをしていた蟹江敬三そっくりなオッサンが俺に気付き、満面の笑みでゆっくり近づいてきたのである。




そこで我に返り、俺は悲鳴を上げながら猛ダッシュで逃げたのである。





そこからの記憶はあまりないのだが、恐らくサウナ以上に汗をかいていたことは間違いなかったはずである。冷や汗だけど。





後日、その恐ろしい体験を、その道に詳しい知人に話すと




「ああ～Ｔ温泉やろ？あそこは深夜○○時からはハッテン場になるから」





「ハッテン場」とは、




男性同性愛者の出会いの場所である。






俺は大阪でも有数の名所ハッテン場スポットに迷いこんでしまったのである。（当時は知らなかった）





それ以来、俺は夜中は当然のこと、昼間もその銭湯に近づかなくなってしまった。





それからしばらくしたある日、今度は朝風呂に銭湯に行きたくなった。




「朝から開いている銭湯・・・」




Ｔ温泉は二度と行かないと決めていたので、大○城の近くにある「Ｏ温泉」に行くことにした。





朝風呂の銭湯は本当に気持ちいい。




頭を洗っていると、鏡越しに視線を感じる。





見てみると、ガラの悪そうなヤンキーが、湯船に浸かりながら俺の方を睨んでいた。



（うわ・・・怖そうなやつやな）




俺はシャンプーをしてわざと眼を反らした。



しばらくして鏡を見ると、





そのヤンキーはまだ俺の方を睨んでいた。



鏡越しで眼が合って、ずーっとメンチきっているのである。








そうなるとさすがに温厚な俺も頭にきたので、立ち上がって後ろを振り返り、湯船に浸かっているヤンキーをにらみ返したのである。






するとヤンキーも湯船から立ち上がり、さらに強い視線で俺をにらみつけた。





もうこれは喧嘩になるパターンである。



内心は風呂場で殴り合いは避けたいなとは思っていた。（滑って頭打ったら危ないから）







しかし引くに引けなくなっていた俺は、しばらくヤンキーとメンチの切り合いをしていると、ある異変に気付いたのである。






ヤンキーの鋭い眼はギラギラと俺をにらみつつ




何故か






チンコがギンギンになっていたのである。








その男は、まさに「浴場」で


俺に「欲情」していたのである。






少し眠たくなってきた俺。







俺に向けられた視線は喧嘩を売るためのメンチではなく、俺に向けてのＬＯＶＥ光線だったのである。






そして俺も図らずしも



彼にＬＯＶＥ光線を返した体となった。






そら、チンコもギンギンなるわ。






俺は白旗をあげてソソクサと逃げ帰ってきたのは言うまでもない。




「Ｏ温泉？あそこは朝からがハッテン場やで（笑）」


その道に詳しい知人が笑いながら教えてくれた。





朝からとか深夜とかややこしいわいっ！！




最近はインターネットなどの出会いツールの普及などで出会いが簡単になったから、ハッテン場が少なくなったそうだが、



ネットに疎い中高年世代は、まだまだ銭湯はハッテン場として人気が高いそうだ。





ノンケの人は銭湯で「深夜のサウナ」と朝から「睨んでくる男」には十分、注意して欲しい。