仕事柄ひとりになって考え事をする時間が多い。



ところで皆さん。

これは俺だけなのだろうか？






考え事をしてる時に、一瞬、頭の中に思い出したくない恥ずかしい過去がフラッシュバックして、


それを頭の中から打ち消しがたいために





叫び声を発してしまいそうになることを・・・









小学生のころに西成の新世界付近を叔父と歩いていたら、


素っ裸のオッサンが「大声で叫びながら」俺の横を通り過ぎて行った。






俺はびっくりしてショックを受けていたら




微笑を浮かべた叔父が




「あの人はねシャブが切れたシャブ中のおっちゃんだよ」


と優しく教えてくれた。






覚せい剤は怖いなぁと子どもながらに思ったのだが、どうやら見当違いだったのかもしれない







その素っ裸のオッチャンは、



きっと頭に浮かんだ恥ずかしい過去を消したかっただけなのだ。








その後も月日が流れたが



奇声をあげながら自転車に乗ってるオバハンや


大声で叫びながら酒の自動販売機の隙間にはさまってるオッサン


とにかく昔から


コンスタントに叫ぶ大人を見てきた。







なぜあの人たちはあんなに大声で叫ぶのか？


子どもながらに不思議で仕方がなかった。







今となってはその理由がなんとなくわかってきた。



みんな恥ずかしい記憶を消したいだけなのである。





年を重ねて人生経験を積めば積むほど


「恥ずかしいエピソード」は


当然増えていき脳に記憶として残されていく。







その恥ずかしい記憶を溜めこんでいく脳の一部分、名付けて「羞恥領域」の許容範囲を超えてしまうと





心が壊れてしまわないように叫んでしまうように

なってるのではないだろうか。




嫌な記憶から自分を守るために叫ぶのである。






ちなみに俺はまだ「叫びそうになる」という段階である。


今はまだ容量的にはギリギリ大丈夫な状態なのだろう。





しかしもし仮に今日、明日にでもすごく恥ずかしい経験をして新しい恥ずかしい記憶がインプットされれば








俺は明日から素っ裸になって叫ぶ人になるかもしれない。




嫌だ！こんな寒い時期に。







なので今溜まっている恥ずかしい古い記憶を消していきたいと思う。




カウンセリングに聞いたことのある話なのだが


トラウマを克服する方法としてトラウマを紙に書いたり人に話すことで

客観的にトラウマと向き合い身体とのつながりを断つという手法があるそうだ。





もし日記に恥ずかしい記憶を書き込めば―


身体とのつながりを断ってくれるのだろうか？



それはものすごく恥ずかしい自分のことを書くことを意味している。


そっちの苦痛の方が大変ではないだろうか・・・






・・・・・・









あれは高校２年の夏であった。


男子校だった俺は、とにかく女子に飢えていた。




そこで商業高校に通ってる友人に頼んで合コン（当時のネーミングは“ショーカイ”）をしてもらうことになった。




男４人女４人で「六甲山にハイキング」に行くことになったのである。



合コンでハイキングとは実に爽やかで高校生らしいではないか。




俺は駅での集合時間に１０分ほど遅れていた。



何故かというと女とハイキングというシチュエーションを想像するだけですごく緊張してしまい駅の近くの喫茶店でウンコをしていたのである。


当時は当然、携帯電話も持っていない。



（置いてきぼりをくらったら溜まったもんじゃない！）




俺はウンコをひねり出すと慌ただしくお尻を拭いてトイレを出て待ち合わせ場所の駅に猛ダッシュで走った。





通行人が俺を見る。


そりゃあそうだ猛ダッシュで必死で走ってるからな。



集合場所に到着すると、みんな待っていてくれた。




ゼーゼー乱れる息を整えながら、目線は女の子をチラ見する。




（うむ。全員かわいい）





すると１人の女の子が不思議そうな顔で俺の背中を見つめると、一言。





「君どうしたの？尻尾がついてるよ？」





（はぁ尻尾？何言ってんだ・・・）




俺はとっさに自分の後ろを振り返って見てみた。




すると




俺のズボンの腰あたりから、






地面に着くほどの長いトイレットペーパーがひらひらとなびいていた。




何がどうなってこうなってるのかはわからない。




たださっきしたばかりのウンコと関連してることは間違いなく


それは触れてはダメな部類であることは瞬時に察知した。




他の女の子も「どうしたの？」と近寄ってくる。






初対面の女の子たちから「どうしたの？」と聞かれてなぜおれはあの時に、ああ答えたのかはわからない。


ただ何とかこの場を切り抜けたかっただけなのだろう。








「ああ…コレのこと？



これは―





忍者の練習やねん！」





ちょっとだけウケた。


六甲山という険しい山を、今日は忍者として登ることを覚悟した。





しかし事態は思わぬ方に急変する。



男側の中で一番空気が読めず、お調子者のＭ君が





「お前何言ってるん（笑）」と俺の腰から出てる尻尾をひっぱった。





はらりと地面に落ちる尻尾（トイレットぺーパー）




そしてその先端にはしっかり





俺のウンコが付着していた。




それを見た女子たちは一斉に




「キャー！」っと叫んだ。




あれから２０年経過した現在





記憶の中で女子高生たちの「キャー！」という叫び声と同時に「キャー！」となってる現在の俺がいるのである。




さぁ書いたぞ。


本当にこの記憶はこれで身体とのつながりを断ってくれるのだろうか？




実はこの手の恥ずかしいエピソードは無数にあって脳の中で眠っている。




効果が現れず再び考え事中に叫びそうになったら


また別の恥ずかエピソードを書いて



少しづつ脳を軽くしていきたいと思う。