「おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ」




ドイツの有名な哲学者、ニーチェの言葉である。




さくっと言うとミイラ取りがミイラにならないようにご注意を！って格言に近いのだが




初めてこの言葉を読んだ時は、言葉だけで何だか得体のしれない恐怖感に震えたものである。





「闇を覗くものはまた、闇からも覗かれている。」





こっちからこっそり覗いてるつもりでも、向こうからも覗かれているのだ・・・










今日、ものすごく可愛い女の子が







「パンチラ」してたのです(´・ω・‘)









今日はあるアーティストのＰＶを作ることになって一日中収録スタジオにいた。




現場監督である俺は午前中に演者や技術との打合せも終えてリハの時間まで休憩タイムとなった。






俺はコーヒーを飲みながら台本に目を通していると、ふと目に飛び込んできたのは




スタジオの隅で屈んで座っている演者の女の子（モデル）のパンチラであった。






衣装などではない。


それはそれはリアルなガチパンティあった。






ミニスカートなだけにチラといより、「これでも見よ！」というくらいの見せっぷりであった。





思わずギョっとして俺は周りを見渡した。



男性スタッフ達はパンチラに気付かず黙々と自分の仕事をこなしている。









ある統計によると



男性に胸をチラ見されていることは気付きますか？という問いに、



はいと答えた女性は32.4％。






つまり3人に１人は男性から胸をチラ見されていることに気付かれているのだ。







しかし、オッパイを見ることに関しては俺も百戦錬磨の「プロ」である。


女性が気づくまもなくオッパイの全容を明らかにする自信はある。




ただパンチラに関してはズブの素人である。





見たい気持ちは溢れんばかりにあるのだが、いかんせん俺がパンチラをガン見してることが本人やスタッフにバレたら…と思うと凝視ができない。







俺がいい仕事をしたとしても




→けどパンチラをずっと見てた人。




これだけは避けたい。








登山家は山がそこにあるから登るのであって



男はそこにパンチラがあれば

「ガン見」するというのが世の理である。







見たい、でもバレるのが怖い

見たい、でもバレるのが怖い

見たい、でもバレるのが怖い、

見たい、でもバレるのが怖い






揺れ動く葛藤の中、俺がとった行動は―








とりあえず、その場から逃げるという選択である。







パンチラが目の前にある以上、見るのは必定。




だから逃げたのである。









俺はスタジオの螺旋階段を駆け上がり

角度上パンチラが見えない２階の吹き抜けに緊急避難したのである。






そして俺は呼吸を整え下のフロアを一望した。







そして絶句した。





どうやら



パンチラに気付いていたのは




俺だけでは無かったのである。









俯瞰でみて初めて気付いたのだ。


男性スタッフがみんなパンチラに気付いていた。








ジーっと凝視をしている「剛」のモノから


動きを不自然にカモフラージュしてチラ見している「柔」のモノまで


パンチラを見る技術は様々である。






当のパンチラの女の子はスマホゲームか何かに夢中になっているようで、パンチラも男に見られていることも気付いていない様子だ。







圧巻だったのが機材を運んでいた業者である。




数十人全員が顔をパンチラの方に向けて歩いていた。









ちょっとした

北朝鮮の軍事パレードである。








俯瞰で全体を見なければ気付かなかった、この男達の情けない姿。




パンチラ一つで大の男がみんなソワソワして…

俺なんて２階に逃げ込むほどテンパって…





しかし俺はさらに


衝撃的なシーンを見てしまったのである。







ゲームに夢中でパンチラをしていた女の子は、スマホの画面から目を離すと周りをスーッと見渡して








口元に「ニッ」と笑みを浮かべたのである。








「こいつ、見られてることに気付いている・・・」




冷静に考えたら20年以上女性として生きた人間が


スカートだとこんな風に座ったら周りにパンツが丸見えになることくらい



気付かないはずがない。




「こいつ確信犯か・・・？」






パンツを男に見られてるのではない。



男達にパンツを見せているのだ。








こっちがパンチラを見ていると思ってたのが、


パンチラを見てるこっちが、

彼女に見られていたのである。





そして見ている彼女も、

また俺に見られていたのである。







「おまえが長く深淵を覗くならば、

深淵もまた等しくおまえを見返すのだ」







ゾっとした。



何がゾっとしたのかというと―





そんな場面を目撃しながらも




気付けば俺は２階から




別の女の子の胸の谷間を凝視していたのである。





それは誰にも見られていないはずだから・・・・





・・・・たぶんな。