２０代で若ハゲになった後輩が、海外から仕入れている毛生薬を使用し始めてから



ハゲの具合がいい感じに改善されているそうだ。







たしかに半年前に頂頭部を撮ったスマホの写真と見比べても



産毛のようなものが生えてて素人目から見ても改善されてる様子。






毎日、朝晩錠剤を飲んで、風呂上りに頭に薬を振りかけて…



なかなか大変な労力とお金を使っているらしい。




それでも育毛に時間とお金をかける。

その理由は何なのか聞いたところ






「女にモテたいから」


と至極単純明確な答えが返ってきた。






彼は「年齢＝彼女いない歴」の素人童貞である。




１０代の頃から薄くなりはじめそれがコンプレックスとなり彼女が作れないと思い込んでしまった。





そこで毛を生やして女にモテて素人とたくさんセックスがしたいんだという。





ハゲてても素人とセックスをたくさんしてるモテ男はいる。





実は女もさほどハゲた男性に嫌悪感を示さないらしい。


「好きな男ならハゲでも気にしない」って大半の女は言う。




だけどその女たちも




「そりゃあハゲてないことにこしたことはない」と口をそろえる。







つまりハゲが好きなのではなく、

好きな男ならハゲててもいいってことなのである。






だから彼女がずーーっといない後輩が


「毛さえ生やせば女にモテる。」


この思考はこれはこれで一理あるのである。




しかしこの毛生え薬はとんでもない落とし穴があった。






「強い薬だから副作用でインポになるんですよね。」






女にモテてセックスしたいから毛を生やしてるのに

毛が生えたら生えたでチンコが起たなくなるなんて






ロマンスの神様はなんて意地悪なんだろうと思う。








何かを得れば何かを失うのか。








久しぶりに地元の女友達Ｙと会った。



久しぶりに見るＹの顔はどうなってるんやろか・・・







Ｙは5年前に再婚をしたバツイチの主婦である。




彼女は２０代の頃に某一流企業に勤める年上の商社マンと一度目の結婚をした。





当時はものすごくいいマンションに住み、いい車に乗り、子どもも生まれ順風満帆な生活を送ってると聞いた。





ある日、Ｙから「実家に帰ってきたから会わない？」と連絡があった。





久々に会ったＹの顔は、聞いていた順風満帆とは程遠い人間の表情であった。




青白い顔で目の焦点が合ってない。


一目で病んでるとわかる。




「これは何かあるんやろうなぁ」と悟った。





話を聞くと旦那は超が付くほどの仕事人間。





毎日仕事仕事とほとんど休みは無く家にいない日も多かった。



育児が大変なのにまったく家の事はしてくれない。


夫婦の会話もほとんどない。





たまに家にいても「子どもの泣き声がうるさい！」「疲れてるんだから何とかしろ！」と大声で怒鳴り散らすようになり、




やがてＹに暴力までふるうようになったという。



部屋の壁に空いた大きな穴は旦那が壁を殴って空けた穴だそうだ。





そしてＹは育児ノイローゼのような状態になって実家に帰ってきたのである。




しかし他の地元の女友達は「Ｙは甘い！」と口々に言っていた。




「旦那が仕事仕事なのはそういう業種の人を選んだ自分が悪い」


「経済的には全く困ってないんだし専業主婦なんだから家の事は一人でしろって」





正論だとは思うのだが、ＹはＹにしかわからない苦しみあるんだとは思う。




昔はあんなにＹと仲良かった女達なのに、女は怖いなぁと思った。


ちなみにＹの当時のいい暮らしぶりに妬んでいた女達である。




そしてＹが離婚したという話を聞いたのは、それから間もなく経った頃だった。




その件以来Ｙ子と会うことはなかった。



一度だけ年下の男性と再婚をすることになったと連絡をもらって以来である。





久々に会うＹのその顔は見違えるほど元気そうであった。




しかしめちゃめちゃ老けてはいた。


いい意味で元気な大阪のオバハンになっていたのである。






その表情からわかるように再婚してからの生活は、幸せそのものらしい。




「今の旦那は最高の男」と自慢する。





主婦と言えば口を開けば旦那の愚痴なのであるが


ここまで自分の旦那を自慢する主婦はそうそういない。






すごく優しくて家の事は何でもしてくれる。



自分の連れ子をすごくかわいがってくれる。



産まれた子どもの育児もやってくれる。



料理もしてくれる。



何よりいつも家にいてくれる。





同じ旦那の立場としては耳が痛い。







「家にずっといるのはすごいな、自営業？」




「ううん。」









「今の旦那ね・・・





働かないの。」







耳を疑った。




「え？働けないの？」








「違う、違う（笑）


うちの旦那は働くことに向いてないんよ（笑）」


っという事らしい。








旦那なりに働こうと努力はするものの、

どこに勤めてもまったく続かないそうだ。







Ｙは働かない旦那と子ども二人の生活のため、

昼も夜もパートで死ぬほど働いているという。




そりゃあ老けるはずである…。








家庭を顧みない仕事だけの男が嫌になり離婚した結果、


家庭にはべったりだが仕事をしない男が登場したのである。



ロマンスの神様はいじわるなのである。






「しんどいやろ？」




「ううん。夜の働きはいいから許してんねん」と大口を開けて笑った。





なるほど幸せそうだ。







きっと人生において何かを得れば何かを失うことは多分にあるんだろうと思う。


失うことの怖さで今を悩んでいる人はきっといる。





そういう時は今よりちょっとだけ幸せになれそうなところを選べばいいんだと思う。




失っても何かを得れるんだからちょっとでも幸せになれそうな方を掴むべきなのだ。








「ハゲ薬でインポなっても、インポの薬飲めばいいだけちゃう？」




「でもインポの薬の副作用ってハゲるらしんですよ・・・」



「じゃあまた強力なハゲ薬飲んで・・・」



「この会話、永遠に終わらないですよ（笑）」






後輩はハゲかインポかどっちが幸せかは知らないけど、俺は楽しい会話ができて幸せな午後であった。