元少年Ａの本の売り上げが週刊ランキングで1位になったそうだ。




非常に胸糞が悪い。






タレントや文化人も続々と非難の声を上げているが
それらの怒りの声も残念ながら本の売り上げに貢献するステルスマーケティングみたくなってるんだろ。



これからも売れ続けると思う。



ちなみに俺は絶対に読みません。




犯罪者の手記は過去に市橋達也の本を読んで胸糞悪くなってから読まないように決めている。



ただ例外を除いて・・・






俺が高校生の頃の話である。





朝に学校に行こうと玄関を出ると、家の前の道に




「みのもんた」


と大きく白いチョークのようなもので書かれてあった。





最初は小学生のいたずらか何かだろうと思って、さほど気に留めず足で消してそのまま学校に行った。





学校から帰ってきたらまた新しく「みのもんた」って書かれていた。





そこから一週間くらい毎朝家の前に「みのもんた」って書かれていた。




さすがに気持ち悪くなった。





ただ家の前は私有地ではなく公道であることから警察に相談したところで鼻であしらわれて終わりだろう。




オカンと俺で対策会議を開いた。





オカンが真顔で言う。




「あんた、よう思い出して



『みのもんた』に関わりはないの？」と聞いてきた。







みのもんたに関わりのある高校生ってなんやねん。






「どっちかって言ったら『みのもんた』は奥さんの方やないの？」






「みのもんた」のせいで母子関係がギクシャクした。





オカンと俺は順番にリビングの窓から見張りをすることにした。



俺は犯人を威嚇するために野球部でもないのに金属バッドを持って玄関の前で振りをした。





大丈夫だと思って安心して寝ても


まるで一時期流行したミステリーサークルのごとく


朝になると俺の玄関に「みのもんた」の文字が浮かび上がっていた。






「みのもんた」



どれくらい続いただろうか・・・


文字が大きかったり小さかったりいくつかバリエーションもあった。







「ミノモンテ」になってたり。



「みの」だけ書かれてあったり。



「ＭＯＮＴＡ」もあった。





もうわけがわからなかった。




しかし事件は思わぬところで終息したのである。





幼馴染のヨシがおもしろがって


いつも「みのもんた」と書かれているところに




「岸部シロー」と書いたのである。






それ以来、プッツリと


「みのもんた」が書かれることはなくなった。




なぜ岸部シローがストップの要因になったのかは今でも定かではないのだが、



恐らく縄張りを示すマーキングの一種ではないだろうかとその道に詳しい人が言ってた。



岸部シロー強えーーーー！！




俺は新聞のテレビ欄で「みのもんた」の表記にドキっとするし



オカンは「おもいっきりテレビ」を何となく見れなくなったし



事件の傷跡は残ったままではあったが、ともかく我が家にようやく平穏は日々が訪れたのである。






しかし、それから数年後－。





社会人になった俺は通勤で駅に向かう途中に

ある民家の前に「みのもんた」の文字を発見した。




夏なのに背筋が冷たくなり鳥肌がたった。




まだ「みのもんた」は終わっていなかったのである。





犯人は何が目的で何を訴えたかったのか？





もし「みのもんた」の犯人が手記を出したなら



俺はきっと貪るように読むと思う。