人間はふだん思っていることや使っている言葉が
無意識に口から出てしまうので非常に危険である。






嫌いな上司や知人に陰で変な呼び名を付けてる人は特に注意した方がいい。



うっかり本人を前にポロっと出てしまうことがあるから。






俺も非常にその類の言い間違い事件が多い。






付き合ったばかりの彼女がいた俺のウブな青年時代の話である。



その彼女とはセックスどころか、まだキスもしていない時代である。






彼女が「次のデートはホタルを見に行こうと」と言いだした。






時期的にホタルが見れるかどうは微妙な時期。





ただどうしても彼女はホタルが見たいというので行くことにした。




彼女の喜ぶ顔が見たいから




車中で「綺麗なホタル出てくるかな～？」って話しながら出現の噂のある場所を探し山の中を走らせた。





しかし、なかなかホタルが見ることができない。






彼女の顔がみるみる曇る。


（デート中にテンション下げる？時期的に仕方ないやんか・・・）


と内心言いたかったがグっと堪えて



「大丈夫、必ずホタルは見つかるから」

と再び車を走らせさらに奥地に進んだ。






俺は彼女の笑顔を見たい一心だったのである。









そして遂にその時はやってきた！！



何度目かのポイントで遂にホタルが現れたのである。




奇跡的にホタルが出現し、まだ付き合ったばかりの俺たちカップルを祝福するかのごとく淡い光で取り囲んでくれたのである。






彼女の顔がみるみる笑顔になったのを横目にみて


俺は小さなガッツポーズをした。




・・・っとここで終わればいい話なのだが。





後日談がある。








彼女から聞いたのだが、ホタルを見に行くデート中、俺はずーーっと「ホタル」のことを












「ホテル」と言ってたらしい。






そうなのである。





俺はとにかく彼女とセックスがしたかったのである。





ずっと「ホテル」のことを考えていた潜在意識がそうさせたのだろう。


俺は無意識のうちに





「綺麗なホテルは出てくるかな～？」



「大丈夫！ホテルは必ず見付かるから！」




そら、彼女の顔もみるみる曇るはずである。






他にも好きな女の子を当時流行ってた映画に誘う時に





「シックスセンス見に行かへん？」を





「シックスナインしにいかへん？」


と言ってしまったこともある。





これはさすがに俺も気づいて


慌てて電話を切るという



ただの気持ち悪い男になってしまったのだが





きっと潜在意識は彼女とシックスナインをしたくてしたくて仕方がなかったのである。







他にもこんなこともあった。





ものすごくお世話になった先輩夫婦の家でご馳走されることになった。


政治社会学を専門の元学者である先輩夫婦はとにかく真面目な夫婦。



ふいに食事中に先輩夫婦が「キューバ革命」について議論を始めるのである。




居酒屋でチンコとウンコの話しかいない自分がゴミに思えてきた。





ただそっち方面はそっち方面でもしっかり対応できるのが大人である。




俺は俺なりにキューバ革命に対する見識を語らせてもらった。



俺がキューバ革命を淡々と語ってると、


先輩の何かが琴線に触れたのか「ムムっ」と表情を変えた。




学者も眉間に皺を寄せるほど、俺はいいことを語ってるんだと非常に悦に入ったのである。






ただこれにも後日談がある。







俺はキューバの「カストロ議長」を








ずっーーと





「スカトロ議長」と発言してたらしい。








そら先輩、ムムっとした顔になるわなぁ。







今までは潜在意識を口に出すことはあっても


「スカトロ」がしたいなんてこれまでの人生で１ミリも思ったことがないのに



もしかして深層心理では「スカトロ」を望んでいるたのか？とひどく滅入ってしまった。








とにかく言い間違えたらヤバいという人や物に対しては、みなさんもちゃんと注意するべきである。




俺は今だに「巨峰サワー」を頼むときは


「巨乳サワー」と言ってしまわないように細心の注意を払っている。