俺が小学生の頃に、親戚のお姉ちゃんの家に遊びに行った時の話である。






二人のお姉ちゃんが買ったばかりのレコードを聴きながら「不思議だ、不思議だ」と首をかしげている。





何回も繰り返し聞いては「不思議だ、不思議だ」と言い、下のお姉ちゃんは「怖い、怖い」とおびえだした。





何事かと話を聞いてみたら




レコードをかけて歌のイントロに入る前に




「幽霊の声が入ってる！」と言うのである。





怖がりなのにオカルト好きの俺は


その幽霊の声とやらを聞かせてもらうことにした。




お姉ちゃんは、レコードに針を乗せる。



下のお姉ちゃんは涙ぐみながら耳をふさいだ。







すると、イントロに入る無音部分に確かに女の人の声がはっきり聞こえた。





苦しそうな女性が呻くように







「熱い・・・熱い・・・ヨッちゃん助けて」






お姉ちゃんはその声を繰り返し聞いては「不思議だ、不思議」だと首をひねる。






俺も不思議だと思った。




何が不思議って




レコードに入った声はもちろん不思議なのだが




「熱い、熱い、ヨッちゃん助けて…」



その声の入ったレコードは、


























ヨッちゃんではなく





トシちゃんのレコードだったからである。











大のトシちゃんファンだった姉ちゃんは




「違うーー！！」って叫んでいた。









なんでこんな古い話を急に思い出したかと言うと




新年会でさっきまでベロベロに酔っ払ってたんだけど







酔いがピークの時に女友達の携帯に、ちょっと内容がアレな留守電を入れたんだけど、









・・・あろうことか










それ会社の上司の携帯だったみたいで






ショートメールで一言だけ




「違うー！！」とだけ送られて来ました。













酔いが完全に醒めました。




誰か抱きしめてください。