ローカルタレントのＩ君はここ最近、寝坊での遅刻を繰り返しているらしい。




イベントなどに遅刻で穴をあけると、クライアントから多額の賠償を請求されるケースもあることから関係者は遅刻にはピリピリしていた。






Ｉ君は昔から知ってるが、そもそも遅刻をするような人物ではなかった。





どういうことか彼のマネージャーに話を聞いてみた。







マネージャーは困ったような苦笑い浮かべ



「いや、実は僕も困ってるんですよ・・・」






マネージャーはＩ君を事務所に呼び出し、こっぴどく怒った後に遅刻癖をするようになった事情を聞いたらしい。







「もっともらしい理由があればいいんですよ。



それがね・・・・






「家に幽霊が出て寝かせてくれない」ってＩが言うんですよ。





そんな話、会社の役員にも言えないし、困ってるんですよ」






マネージャーは大きなため息をついた。







「家に幽霊が出るから遅刻する」






そんなバカげた話は会社の人間やクライアントにも言えなくて困ってるとマネージャーは言う。







俺はその話を聞いて







「Ｉ君も大変だなぁと思った」






俺は全日本オカルト愛好会の副会長である。



Ｉ君の話を全面的に信じている。








そもそもＩ君がこの半年で引っ越しをしたのは５回。



数か月前の飲み会で


「ベランダに幽霊がいて窓に張り付いてこっちを睨んでいる」というのはＩ君から実際に聞いた話である。







そこから何度、引っ越ししても幽霊に悩まされる・・・




これは部屋の問題というより、どうやらＩ君に憑いている霊の仕業だなと思った。





何を隠そう俺も憑かれていたことがある。



霊能力のあるおばあちゃんに





「君、すごいことになってるよ」と言われた。






俺の背後にものすごい数の「動物霊」」を引き連れてると言われた。



鳥やら犬やら猫やら猿やら鹿やら・・・野生の動物が俺の後ろを付いてきてるらしい。




理由はよくわからないが動物霊に好かれる体質らしく




視える人からしたら俺は









「霊界のムツゴロウ」らしい。










動物霊は人間の言葉を理解しないから普通の除霊が難しく、


その時のお祓いはお寺に行って激しいお祓いを行った。




時間もお金もたくさん使ってすべての動物を祓ったといわけである。





あと幼馴染のヨシも憑かれたことがある。




ヨシは事故で足を骨折して以降、事故だ病気だと連続して不幸が続いた。







根っからポジティブのヨシは何も気にしていなかったが、飲み会のついでに古い知人で霊能力を持つＴ美ちゃんにヨシを視てもらうことにした。




するとすごいのが憑いてた。



Ｔ美曰く




「若い女が鬼のような形相でヨシを睨んでいる。」



ヨシの身にかかる不幸はその女が起こしているらしい。






ヨシにはまったく身に覚えがない。





Ｔ美は、自分には手におえない悪霊と言ってた。




Ｔ美はヨシに除霊のできるお寺の連絡先を渡した。





２週間くらいしてお祓いに行ったのかどうか気になったのでヨシに連絡を入れてみた。





なんと、




まだお祓いにも行ってないという。






「なんかめんどくさくて・・・このままでいいや」ヨシは言う。







俺はすっかり忘れていた。






ヨシは極度のめんどくさがり屋の体質であること。





あと





「ゴミを見るような目で女に睨まれながらオナニーする。」




ヨシの大好物のプレイであった。








後ろから鬼のような形相で見つめられていると聞いたヨシは


恐怖よりも、ゾクゾクとくる快感の方が上だったらしい。






後日聞いた話によると






毎晩、「おい見てくれよ～！！おい見てくれよ～！！」と叫びながら


自分に憑いてるという女の霊に自分のオナニーを披露していたらしい。





目を背けたくなるほどの変態オナニストのヨシである。





鬼の形相だった女がどんな表情になって行ったのか…





女の霊に同情した。






それから１年経っていつもの飲み会でＴ美と会うと




「あらヨシくん、霊いなくなってる！良かったね♪」




まさかヨシがオナニーで除霊をしたとは口が裂けても言えなかった。





「Ｉには本当に困りました・・・」



マネージャ―が苦笑いしながら困惑している。




Ｉ君にはハードなオナニーをさせなさい。




その一言はグっと飲みこんだ。