忙しくても一日１時間は外をプラプラ散歩することにしている。




特に健康のためとかじゃなくて外に出た方が自分の中で得るものが多いからである。




煮詰まれば煮詰まるほど外に出たくなる。





「こんな忙しい時にあいつどこ行ってん！！」


って上司が騒ぎ出しても



「散歩に行ってます」

って同僚が言えば許される風潮が最近やっとできてきたのである。



散歩から帰るとしっかりやるからｗｗ





さて散歩に出ると何を得れるのか？






これは「情報」であったり「想像力」であったり凝り固まった頭脳を柔らかくしてくれる効果が俺にはある。






とりわけ商店街なんかを歩いて人間を観察するのが好きである。








暑い季節になってくると




道に座り込んで独り言をぶつぶつ言ってるオッチャンとか見かけないですか？





多くの人はみんな関わらないように道を避けていくんだけど



俺はオッチャンが何を言ってるのかめちゃくちゃ気になるタイプなのである。






ものすごく大きな身振り手振りで独り言をつぶやくオッチャン。



ドラムを叩いてるような仕草。






もしかしたら、誰も解明できていない宇宙の神秘について語ってるのかもしれない。



もしかしたら、とんでもない予言を言ってるのかもしれない。







以前、ものすごく気になって、そのオッチャンの後ろに近づいて話しを聞いてみると


















チャーハンの美味しい作り方をつぶやいてた。







身振り手振りはドラムじゃなくてチャーハン作ってたんだね。





火力とｺﾞﾏ油が決め手だそうだ。









あと道を歩いていると、ものすごくデブ男の２人組が向こうから歩いてくる。




一生懸命しゃべってるメガネをかけたデブがニヤニヤしすぎて頬にかかったメガネが上下に動いている。



（何を話してるんやろ・・・？）







すれ違う一瞬にデブ男が話したのは




「○▽×（聞き取れず）を軽くあぶって醤油をかけて食べたら死ぬほど美味いねん」





俺は衝撃を受けた。




世の中の美味い物はすべて食べつくした感のあるデブである。



そのデブ男がメガネが揺れるほど喜び死ぬほど美味い食材ってなんや？




気になって気になって俺は踵を返し、しばらくこの二人組の後ろを尾行したが




結局、何を軽くあぶって醤油をかけて美味いのか聞くことはできず不明のままである。






今もすごく気になってて、あの時、声をかけて聞けばよかったと後悔している。








で、先ほどの話である。




商店街を抜けた先の信号待ちで




若い奥さんが自転車の後ろに小さな女の子を乗せて信号待ちをしていた。








この若い奥さん、大きなサングラスをかけた色黒の奥さんで髪の毛は金髪で足首にタトゥーが入っていて誰がどう見ても「ヤンキー奥さん」。






旦那も恐らくはヤンキーなんだろう。



できちゃった結婚だろうか？それともシングルマザーだろうか？


思わずプロファイリングをしてしまう俺。



（こんな感じの奥さんがちゃんと子育てとかできるんだろうか・・・）







後ろに乗っている子どもの腕や足、顔を見る。



殴られている形跡は無し。




このヤンキー奥さんが後ろの子どもに何か話していた。



（どんなＤＱＮな会話なのだろうか）




殴る時は鼻の下の急所を狙え！



お小遣いは無い時は、お店からお金を払わず奪え！



とか言ってるんじゃないだろうか？





気になったので少しだけ近づいて恐る恐る聞いてみた。






俺は衝撃を受けた。








ヤンキー奥さんは



「困ってるお友達を見たら絶対に助けなあかんよ

そうしたら○○ちゃんが困った時に周りの人が助けてくれるから…」









なんて立派なことをいう母さんなんだろうか。



自分の言葉でさらっと言ってるのを見ると、彼女の哲学としてずっと言ってる言葉なんだろうね。



彼女が母親にそう言って育てられてきたのか、また彼女自身が色んな人に助けられて生きてきたのかもしれない。






人を見かけで判断してはいけない。



いい歳してこんな当たり前のこともできない俺は、自分が恥ずかしくなったのである。





彼女は立派に子育てをするんだろう。




心の中で彼女への偏見を詫びた。





その親子が去った後、色々考えさせてもらった。







色黒金髪でヤンキーなお母さんだったけど



黒いタンクトップの横から見えるブラジャーは可愛いピンク色だったなぁ・・・って思い出したのは







別に恥ずかしいこととは思っていない！（キリ）