あのドングリの正体[ぴかぴか(新しい)][わーい(嬉しい顔)][指でOK][!!]
40代前半  大阪府
2016/09/28 17:12
あのドングリの正体[ぴかぴか(新しい)][わーい(嬉しい顔)][指でOK][!!]






子どもの頃に不思議だったことが

大人になってからわかる時がある。




俺が中学1年生の頃の話。





時代と言えば時代かもしれないが、俺の通っていた中学は市内でも有数の荒れたごろつき学校であった。






学校のあちらこちらに絵に書いたようなヤンキーの先輩がいて、少し前まで小学生だった俺はすごく恐ろしかった。






定期的にそんな先輩達が学校で大暴れをする。





先生なんかもボコボコにされて入院したりする事件も1度や2度ではなかった。







そんな恐ろしい先輩たちが校内で大暴れすると誰も止められない。


肉体派の若い先生ですら尻込みをするほどである。






そんな中、悠然とN先生はヤンキー達に近づいていく。






N先生は社会科の先生で定年近いお爺ちゃんであった。






年を取った先生は暴力をふるわれないのか?


そんな甘い先輩達では無い。





俺はN先生が殺されるかと思った。







案の定、数人のヤンキーに胸倉を掴まれ凄まれている。





(うわ、先生殴られる・・・)



・・・と思ったが、少し様子が違った。






おもむろにN先生は、ジャケットのポケットから何かを取り出すとヤンキーにそれを渡す。




ヤンキーをぱくっとそれを食べる。




食べ終わったヤンキーは再び先生の胸倉を掴み凄もうとするが


再び先生はジャケットのポケットからソレを取り出すと、ヤンキーは素直に受け取り、ソレを口に運び嬉しそうに食べる。



食べ終わり胸倉、先生がポケットから・・・





それを繰り返す。



やがてヤンキーはおとなしくなり自分からN先生に(ちょうだい)とばかりに手を差し出す





気が付くとN先生の周りにヤンキーが集まり



まるで小鳥の餌付のようにN先生はソレをヤンキー達に食わせる。







よほどソレは美味しかったのだろうか。

ヤンキー達は大人しくなり静かにその場を立ち去った。






(一体アレは何だ?)




遠巻きに見ていた俺たちはN先生のポケットから出てきたアレが気になって仕方が無かった。








「そういえばN先生は授業中に何やらモグモグしてる時があるで」






それだ!


ポケットのソレを食ってるんや







ある一人の同級生はこう証言した。




「ポケットの中にあるのはドングリや」と言いだしたのである。





何でも先生の周りに見たこともない妙な殻が周りに落ちていたという。






ドングリ!?



まさかと思った。





ドングリと言えば、当時は食べたら耳が聞こえなくなるという迷信を信じていたからである。







「N先生は耳聞こえへんときあるやん!!」



今思えば単純に加齢により耳が遠くなってるだけなのに、ドングリを食ってるから耳が聞こえてないという話でまとまった。






それから月日が流れた。






俺はN先生のポケットの中のドングリが気になって仕方が無かった。




相変わらず時折、口をモゴモゴさせて何か食っている。




カラン!何やら先生のポケットから何かが落ちた。




(殻や!!)






授業が終わりその殻を手に取り観察をした。

かなり固くて分厚い。







「ドングリの殻ってこんな分厚かった?」



「南米のドングリは殻が固くて分厚いって聞いたで」とヨシは本当かどうかわからない知識を披露した。






(N先生の南米のドングリが食いたい・・・)



耳が聞こえなくなってもいい。


ヤンキーを鎮圧させたあのドングリを食いたい。


意を決し、俺とヨシでN先生のところに行き





「先生!ポケットに入っているドングリを下さい!!」とお願いをした。





N先生は大笑いをして


「食うか?」とポケットからドングリを出した。






初めて間近で見た先生のドングリ。






ドングリ


・・・じゃない。







いやドングリっぽいがドングリじゃない。



N先生は固そうな殻を取ると俺とヨシの口の中にソレを掘り込んでくれた。






「うううう美味~い!!!」






俺とヨシは顔を見合わせて喜んだ。






その時にソレの名前を聞いたのだが初めて聞く覚えにくい名前でヨシがその名前から連想してかやっぱり「南米や!」というから





「南米」という名前になってしまった。







その日以来、N先生を見かけると「南米ちょうだい!」とおねだりした。





ほどなくして南米の正式名称を知らぬままN先生は定年退職をした。






それから幾年が過ぎた・・・






(南米が食いたい)






N先生がいなくなってからも南米は食べていない。




記憶が曖昧になってるのに美味しかった記憶だけがあってより一層、南米への想いを募らせた。





そして忘れもしない南米との再会の夜。







20歳になってあるバーで酒を飲んでたらおつまみが出てきた。






(こ、これは・・・?)




記憶がフラッシュバックするとはこのことである。





まさに南米ではないか。



いや、しかし違うものかもしれない。






はやる気持ちを落ち着かせ、剥きにくい殻をやぶり口の中に掘り込んだ。






(これは、な、南米だ!!!!)




間違いない、南米の味である。









「マスターこれ何ていう名前?」


俺は思わず叫んでしまった。





「あ?それ?



それはね・・・
























「ピスタチオ」って言うねん」











南米とは『ビスタチオ』の事であった。




当時はコンビニも無く酒のおつまみとして以外はそうそうピスタチオを口に入れることはなかったのである。









「ピスタチオ」



そうかそうかそういう名前やったな・・・




懐かしい味と当時の記憶が蘇り一気にノスタルジックな気分になり涙がこぼれそうになった。






子どもの頃はわからなかったけど

大人になってから気づいた瞬間であった。







しかし



たまーに南米じゃないのがポケットに入っていて

それは苦くて美味しくなかった。



ヨシは「苦玉」と呼んだが


「苦玉」の正体は今も不明のままである。
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コメント

40代前半  大阪府

2016/09/30 22:42

16.  >>14 みーさん
マジですか!

それ、マツモトキヨシとかで売ってますか?

勃起に良さそなんで^ ^

40代前半  大阪府

2016/09/30 22:41

15.  >>13 はぅはぅのゲスい品行方正で普通の早川ミステリ山ジュンたんさん
チオしかあってませんから(笑)

ただ殻がついてる状態の割れ目加減はかなりヤバイです。

40代半ば  東京都

2016/09/30 20:17

14. 苦玉の正体は
ナウシカが持ってた
苦いけど
ハイパー栄養源の実です
(・v・)

2016/09/29 18:43

13. ピスタチオでなつくってリスみたいなヤンキーで可愛いですねw

ピスタチオってイラマチオの仲間の様な響きが有りますよね。

40代前半  大阪府

2016/09/29 11:03

12.  >>6 りんさん
ピスタチオ美味いですよね~!

苦玉は仁丹か救心じゃないかと言われてます。
漢方薬的な…

40代前半  大阪府

2016/09/29 11:02

11.  >>5 ゆり香さん
小学校からの付き合いやからね~

昔のエピソードには必ず関わってます(笑)

40代前半  大阪府

2016/09/29 11:01

10.  >>4 いづみさん
嗅覚と味覚ってノスタルジックな記憶が残りやすいんですよね~!昔、身体の相性が抜群だった元彼女の同じ香水の香りを嗅いだら無条件で勃起してまいます(´Д` )

40代前半  大阪府

2016/09/29 10:59

9.  >>3 あきさん
それは日本で食えますかね?

韓国でどんぐり冷麺は食いました(^o^)

40代前半  大阪府

2016/09/29 10:58

8.  >>2 玲子さん
やっぱ時代ですかね~

って関係ないわな(´Д` )

40代前半  大阪府

2016/09/29 10:56

7.  >>1 ダヤン ̄(=∵=) ̄さん
苦いかな?食べるとクセになりますよ^ ^

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