「こじらせ女子」という言葉がある。







最近は主に「独身をこじらせた女性」を「こじらせ女子」といわれるのが一般的になっているそうだ。







「ひとりの時間が楽しくて彼氏がいなくても全く危機感がない」


「今の生活がラクでわざわざ結婚するのが面倒くさい」




こういう女性が独身をこじらせてしまっているというのだ。







俺と同い年の女友達にも「こじらせ女子」がいる。





今回はこじらせ女子のＳ子の話である。





適齢期を過ぎた独身女性を見てきて思ったことが
こじらせ女子には、ある共通のパターンがあると俺は思っている。







その共通のパターンの１つが








「習い事を始める」






将来の結婚を意識した「料理教室」や「編み物教室」とかではない。






こじらせ女子は、およそ日常生活とはかけ離れた「習い事」を始めるのだ。







Ｓ子もそうだった。






30代で始めた習い事が













「太極柔力球」






ラケットの上にボールを載せ、引き付けたり、回したりする中国で生まれたよくわからないスポーツである。







なぜそれを始めようとしたのかも不明だが、かれこれもう10年近く続けていて大阪3位の実力だそうだ。



そもそも何をどうしたら勝つかわからないスポーツで大会の成績を自慢されても「へぇ～」としか言えなかった。







さらに俺が夜中に車で大阪城の横の道路を走っていたら、道路わきの市営の自転車置き場で



めちゃくちゃ大きい吹奏楽器を抱えて一心不乱に吹いているＳ子を目撃した時もある。



あやうく二度見して事故りそうになってしまった。







よくわからないスポーツやよくわからない楽器を習い出すとかなりこじれているという証である。





そんな話を飲み仲間としていたら「たしかに！」と彼らの周りにいるこじらせ女子達も何らかの習い事をしているというのだ。




こじらせ女子＝習い事という共通パターン。




なので会社の女子が何らかの習い事を始めると聞くと内心は（危ないな・・・）と思ってしまうのである。








さて先日、3年ぶりにＳ子と飲む機会があった。





そこで俺は愕然としてしまったのである。





こじらせ女子といえば習い事だと思っていたが、こじらせ女子のてっぺんは「習い事」ではなかったのである。






Ｓ子は習い事は継続しつつ（新たにカポエイラという謎の格闘技も始めた）




フィギュア収集というものを始めたのだそうだ。






自分の好みのイケメンフィギュアを集めている。








こじらせ女子もこじらせすぎると





魂の入ったものに興味を無くすようなのだ。








この日も３体フィギュアをかばんに入れて持ってきていた。






そのうちの一体を手に取って見てみた、






フィギュアの身体のどこかに小刻みに振動するスイッチを探したが見つからなかったので、そういう用途で使うものではないみたい。






それぞれ３体に名前があるのだが、家にもたくさんフィギュアがあってそれも全部名前があるらしい。





Ｓ子は居酒屋のテーブルの上にその３体を並べうっとりと見つめながら




「うししし…男４人とウチ一人で飲んでるわ」


（おい俺もフィギュアにされとるがな）







Ｓ子のこじらせっぷりがあまりにも気の毒に思えたので






「無職で糖尿でハゲやけど男を紹介しようか？（ヨシのこと）」と聞いたがやんわり拒否された。





「ウチはもう、毛穴のある男は無理やねん」とフィギュア目線で話されてしまった。






まぁ～久々にＳ子と話したけど、とにかく毎日が楽しそうなのである。






３０代の頃は結婚に多少は焦りもしたそうだが、４０代になったら諦めの境地というか

自分自身の焦りも親からのプレッシャーもなく、仕事もプライベートも充実する毎日をおくってるそうだ。






楽しそうに話す女を見ると、聞いてるこっちも笑顔になるな（*^_^*）





「こじらせ女子」と言われているかもしれないが人生が楽しいならいいじゃないか。






日々、くたくたになりながら仕事もして家事や子育てに追われ、愛する夫からは女として見てもらえなくなった女性よりも





よっぽどこじらせ女子の方が人生を謳歌しているのかもしれないと思った夜であった。