最近は出張続きで各地の知人と呑むことが多い。




Uさんは、関東に住む古い先輩である。




40代前半にしてアパレルから飲食まで幅広く手を広げ成功をしている社長である。






よく言うと大らかな人物だが悪く言うとお金に無頓着で、特に酔うと太っ腹になり色んな人に金をがんがん使ってしまう。





ベロベロに酔って｢ここにいる人全員分｣って知らない人の分も奢ったことも一度や二度ではない。




一番困る悪いクセがある。






Uさんは金持ちだが、金目の物は身につけていない。






なぜかというと、身に付けた物を誉められると｢じゃあ、持って帰りな｣とその場であげてしまうクセなのだ。





今まで高価なものを誉められる度に他人にプレゼントを続ける日々が続き、朝に酔いが醒めて｢まずいな‥｣と反省する日々が続いたらしい。




数年前に200万円くらいしたロレックスを購入して一週間で、よく知らないジジイにあげてしまった。


それ以来、金目の物を身につけなくなったという。





｢おかげで、大事なのを他人にあげるクセは無くなったよ(笑)｣と笑っていた。




数年前ぶりに呑んだUさん。


｢この数年色々あってさぁ｣


Uさんは離婚していた。





元奥さんは俺も知る人物で、元グラビアタレントで結婚してからも主婦モデルとして活動していた人である。




何より彼女は性格もよく、破天荒で金使いの荒いUさんにも文句ひとつ言わず、笑って許していた。





Uさん離婚については相当ダメージが深い様子であった。



それもそのはず。




離婚した原因は、

元奥さんの不倫であった。





しかもその不倫の相手は、


最も信頼し右腕にしていた独身の部下なのである。







現在、その部下は会社を退職した後、Uさんの元奥さんと一緒に暮らしている。






離婚騒動が起こる前に一度だけ、Uさんとその問題の部下と吞んだことがある。






｢社長の奥さん、綺麗だし性格も良くて本当に羨ましいんですよ~｣としきりに褒めていたのを思い出した。




たぶん

Uさんの悪いクセは治っていなかったのである。