ぶっ生き返す
人は死ぬ。
産まれた時から死ぬまで生きる。
政治家も金持ちも犯罪者も凡人も平等に。
判っていた。ずっと。解っているつもりだった。
俺も死ぬのだ。ポックリ逝くのだと思っていた。願っていたのかもしれない。否、願っていた。
脳腫瘍を患った。
妹も叔母も従兄弟もたくさんの人に愛された人が亡くなった。
俺も確実に早く死ぬと思っていた。
4月に病気を知った時はショックだったが、暫くするとドラマチックだと笑っていた。
此処までかと酒を飲みながら諦めた。
8年近くほとんどに休まず働いていた。誰も気にかけてくれてないし、つまらない人生の選択肢をチョイスしてしまったと諦めていた。
ひとまず様子見という診断で退院した。
死ななかった。
意外と元気で働けそうだったので半年前に移動した店の部門をちゃんと申し送り出来てなく、次の担当が新人だったのでリハビリも兼ねて手伝った。
ある日、発作が激しく出て、3日程休みその店の責任者に報告しながら、多分大丈夫だと思うと話すと怒られた。ショックだった。
ショックだったのは怒られたのが今まで自分が自分を大事にしていなかった事で、そこで気が付いたからだった。
去年までの自分が哀れに思えた。涙が出てきた。
生き直そう。一度自分を大切にしてみよう。リハビリも一度止めてもう少し休もう。そう思い、家に帰ると久しぶりにマキシマム ザ ホルモンの「ぶっ生き返す」のMVをヘビロテで流した。