野又 穫展。
東京オペラシティアートギャラリーで2023/9/24まで開催中の『野又 穫 Continuum 想像の語彙』展である。
めっちゃ良かった。東京オペラシティアートギャラリーさんは、毎回俺のハートをぶち抜いてくるわ……。_(:3 」∠ )_
『目の前に広がる見知らぬ風景に、不思議な構築物がそびえ立つ。なぜか懐かしさを感じさせる野又穫(のまた みのる1955-)の絵画は、架空の光景と一言で片付けることのできない、現実と地続きにある非現実とでもいうべき独特の世界が特徴です。
(中略)
企画展示室では初めての個展となる本展では、当館コレクションはもとより、初期から最新作まで、野又穫の全貌を広々とした空間で展示する機会とします。』
この世にない建築物を描く奇想の作家野又 穫氏。
精緻でバランスの取れた美しい作風は、子供の頃書物でピラミッドやサグラダファミリア、アンコールワット、それにバベルの塔やバビロンの空中庭園の想像図を見たときの昂揚感や、ゾクゾクとした気持ちを思い出させてくれる。
ただ、絵に一つ欠けているものがあることに気づくと、絵は途端に不穏な気配を纏う。
それは、人の姿だ。
天幕や工具など、誰かが居た痕跡はあるが、人間は一人として描かれていないのだ。まるで、温かい料理などもそのままに、乗員だけが消えた伝説のマリーセレスト号のように。
美しい建物達は、今、建てられているのか。それとも、放棄されたばかりなのか。
建築は文明の象徴であり、モニュメントでもある。これは神に届かんとして打ち砕かれたバベルの塔のように、繁栄の絶頂にある現代文明の行き詰まりを表しているのだろうか。いや、そもそもこの建物を建てたのは、人なのだろうか?
単 に 人 間 描 く の が 嫌 い な だ け か も し れ ん が 。
案外「俺は建物が描きたいんだ! ちまちま小さい人間なんて描いてられっか!」ってだけかもしれん。マンガ家さんとかでも、群衆シーン描くの嫌って人、多いしね!(笑)
ともあれ、美しくも不思議で不穏な、良い展示でした。好き。(*´ω`*)