息子の決断
そろそろ学生たちには卒業の季節になってきた。
私の息子も予定では、この3月に国立の教育大学を卒業して、中学校の先生になるだろうと思っていたが…
今、クルマの専門学校に通っている。
一昨年の3年生の夏休み中の出来事だった。
大学から電話がかかってきた。
息子が教育実習に向けての説明会に出てきてないと。
早速、下宿にいるだろう息子にケータイをかけてみても応答がない。
家内と娘で、とにかく下宿まで行ってみようと、
愛知県までクルマを走らせた。
私は、家で待機。連絡を待つことにした。
4時間後ようやく家内から電話がかかってきた。
下宿に行ってみたらどうやらいるようだったが、
電話もとってくれない。
大家さんに言って開けてもらうからとドア越しに息子に話しかけたらやっと開けてくれた。
息子はものすごく落ち込んでいて、何も喋らない。
家内と娘が説得をして、食事に誘い、ことの詳細を聞いた。
3年間先生になろうと一浪までして受かった教育大学だったが、
だんだんと進路に悩んでいたようである。
帰って来た時は、そんなそぶりを見せなかったので、私も気づいてやれなかったが、兄貴に買ってもらった中古の4駆に魅せられ
クルマの整備に目が向いていったようだった。
それから息子を実家に帰し、男と男の話しを続けた。
息子も大学の先生にその旨を伝えて、自分で退学手続きをとった。
今ではかつての性格を取り戻し実家から近くの自動車の専門学校に5つ下の友達と元気に通っている。
親父の考えていたレールに乗れなかったけど、本人が選んだ道、応援してやろうと今ではそう思う。
でも、就職は、めざすのは愛知県の本社。
結局、また愛知県に行きたいんだなと、目を細めている。