賽の目
賽は投げられた。
右と出るか、左と出るか、
はたまた、想定外の目がでるか。
社長との根比べでは、とうに勝ちをおさめた。
それは言葉にしないまでも、180゚方針を変えた事で、心中を察する事ができる。
約2年も前に私が指摘した問題を、問題視出来なかったのだ。
今、この事を口にしては野暮だ。それに、自尊心をえぐってしまう。
はなから、私は根比べをしていた意識はない。
そうなる事が解っていて忠告はしたが、相手はそこまで見えていない。
決定権は相手が持っているのだから、見えていないものは受け入れられない。
なら、そうなるまで何をどうしたところで響く事はない。
だから、こうなってしまうまで、沈黙を続けたんだ。
もう、哀しく思う心も通り過ぎた。
「後悔、先にたたず」
あの人の心の内は、哀しさ・悔しさ・憤り云々。
心の中は諸々の感情が渦巻き、頭の中は目まぐるしく数字が並んでいるだろう。
でも、私は後悔する事がない。
それは、その答えも持ち合わせているからだ。
誰も見えていなかったんだ。
だから、誰にも口を開かなかっただけ。
孤独は哀しい事でも何でもない。
多くの人間は、精神的孤立を感じた時に苦しむのだ。
ただ私は、その「多く」の中にも入らない。
もう、何なんだろうな………。
男は~・女は~、といった二元対極なものの捉え方や、のっけから本質を考え始める発想やら………。
そんなんじゃ、何にも見えないのにね………。
とりあえず、あとはどうなるかだなぁ。