terminal of the freedom
「飲みに行くぞ。たまには良いだろ?」
社長と二人で飲みに行った。
周りには何も変わらず、至っていつも通りに映っているはずが、あの人だけは何かを察したようだ。
こればかりは内心「流石」と感嘆する。
酒好きな訳でもなく、色好きな訳でもなく、一人で飲み歩く事もしない社長が飲みに誘ったというだけで、もう言葉は必要ない。
「生酔、本性違わず」
お互いに弁えているから酔う事もなければ、接待ではないから、酔った振りをする事もない。
聞きたい事は山程あるだろうに、聞き出せない事も解っているから、野暮ったい質問もしてはこない。
自分で切った首を、社長が皮一枚繋げたか………。
まだ、台風の目が必要か……。
酷だよなぁ………。
とんでもなく深くて重いビールになったもんだ。