窓越しの花火
70代以上  鹿児島県
2017/07/30 1:15
窓越しの花火
5歳のチビは
腎臓が悪く入院中。
採血も点滴も泣かない。
どんなに苦い薬も頑張って飲んできた。

花火が大好き。

先週末、病院の近くでお祭りがあり花火の音に気がついた。
去年の今頃も病院から花火を見た。


興奮しながら
窓から背伸びしながらのぞく。

病院は新しくなり
場所が変わっていたので
光すら見えなくて
注射で泣かないチビが泣きじゃくった。

打ち上げ花火の音がするたび

大粒の涙がポタポタあふれる。


見れない花火の時間は
ものすごくながい。
残酷な刻をきざむ。



チビはただ我慢。



そして今週末も花火はあがる。



入院中の私やチビには
イベントや花火の情報は
いらない。
どう気を紛らわすかタイヘン。
ガマンするしかないからだ。
退院してからね
いっぱい見ようね

そんな

なぐさめしかなかった。



夕方、主治医が
病室に。


「婦長さんから聞きました。花火、みていいよ」

その代わりマスクしてね






チビは

やったー!




と、大はしゃぎ。




さて、方向オンチの私は

どの方角からあがるのかわからない。


そうだ、その時は
サスペンスドラマのように

こっそり
ぬけだして、
したまでおりちゃえ!

そんなことをたくらんでいた。


7時半すぎ



婦長さんが


そろそろ
いきましょうか





車椅子を持って迎えにきてくれた。
病室以外は

いろんなウィルスや菌があるので
花火ががみれる
病室を探し

特等席を設けてくれた。


私用の椅子とチビの車椅子。

わくわくドキドキしながら待つ。



わあっ


きれいだねぇ



打ち上げ花火が
あがるたびに
涙がこぼれるのは私のほう。



花火、

終わるのはやいねー

あっ

また、おおきいのあがったよー



赤だ!緑!


時が過ぎるのが早い。



終わりを知らせる連続花火。



どんな花火よりも

チビの目にうつる花火はキラキラ輝いていた。


一緒に観た花火。


たぶん

こういう体験は
初めてだろう。


貴重な時間。



婦長さんの
患者を思う気持ち。
病は気からというけれど
どんな薬や注射よりも効果がある。




おかあさんから
話をきいて、私もみせてあげたくて

主治医に言うなら、このタイミングしかないって
はなしてみました。



まさかのサプライズ。


素敵な時間をありがとう


チビを笑顔にしてくれてありがとう。


今度は

ちゃんと花火見に行こうね。



婦長さんの気配りに感謝です。
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コメント

70代以上  鹿児島県

2017/07/30 5:29

2. 泣いた

60代半ば  山口県

2017/07/30 1:31

1. 桜さんこんばんは(*^^*)いい話ありがとうございます(^o^)

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