父は、母の細くて華奢な「手」に一目惚れして
恋に落ちた…


私の手は、華奢でもなければ
母のように
一目惚れされる自信なんてない…


昔から手の綺麗な人に憧れてた。
手の仕草って、女性らしさを強調できる。

エロさや艶やかさでもなくて
色っぽいわけでもないけれど、
私はやっぱり
手が好き。


しわくちゃになった
おばあちゃんの手
人生を共に歩いてきた
一緒に涙も幸せもみてきた手…
その、シワのひとつひとつが苦労がにじんでる。

それもいい。

赤ちゃんが手のひらをにぎって グーしてるのは
「しあわせをつかむため」だと聞いたことがある。


私も
年齢を重ねた分だけ
いい、 そんな手をめざしてる。



高級ハンドクリームぬったり、マッサージしたり、手袋してるのに
逆剥けだらけ、絆創膏だらけ。夜の仕事してるのにマネキュアもご無沙汰。
桜いろのネイルで春を楽しみたいのに。


煙草を吸わない私は、いまだに煙草に火をつけるのがたどたどしくて…
そんな私の手を、両手で
暖めてくれたお客さん。
お酒のせいだと思ったけど ドキッとした。

手をにぎる


そのタイミングで
いやらしくも
せつなくも
淡い恋心も…


少女の頃、
冷たくかじかんだ手を
大好きな人に
両手で白い息をふきながら暖めてもらったことを
思い出した…。

コートのポッケで
手をつないだり…



そんな日々を
思い出してる私がいます。
男のヒトは


そんなこと
思い出したりしますか？