「消える人間」第３話｜ワクワクメール

「消える人間」第３話

ぐにぐにと黒い球体は動いていた。

時折　とがったり色が少し白っぽくなったり。

電話はいつの間にか切れていた。

最後に

「今どこに・・・」
そんな声が聞こえたような気がするが

私はそれに釘づけだった。
見てはいけない物を見ているような
見なくてはいけないような
見たら恐ろしいものに巻き込まれそうな

そんな予感がしながらも私は見ていた。

しかしそんな球体への興味から、別の物に私は興味を奪われる事になる。

それは

２つの人間型の影。
球体と影と影は少し離れた位置にあり、私から見て直線上に１０メートル程の感覚で立っていた。

これまでと違ったのは、

実にゆっくりではあるが影が球体に近づいて行っている事。

私はこれから何が起きるんだろうと目を見張った。

私はどのくらいの時間それを見ていただろう。

ふらふらと揺れるような、伸びるような影はゆっくりと近づいていく。

そして

ついに影の一つが球体に重なった。

私の耳になにか高鳴りがする。

キーーーン・・・・

「痛っ」

耳が痛くなる高音。

視界が歪んでくる。
いつしか私はその場所から動けなかった。

というよりも動かない方がいいという直感があった。
影は球体と重なりグニグニと動く。

そしてそのまま消えた・・・。

背筋が凍った。

取りこんでいるのか
合体しているのか

よくわからなかった。

ふと気がつくと「気配」が増えている。

わらわらと数体、影がどこからともなく現れている。

球体が呼んだのか球体に導かれたのか・・・・

１体１体、影は球体に重なり、そして消えた・・・

そして私の見える範囲の影はすべて消えた・・・

・・・つづく