体験した不思議な話「いつまでも」
どうしてこんなことになったんだろう?
これまではそんなこと無かったのに。
これまでは仲良くやってこれてたのに。
少し、意識が変わっただけで
それはなんとも恐ろしいものになってしまうものなのだ。
いつもいつも周りには誰かがいた。
多分物心付く前からそれはいたのだろう。
微笑めば微笑み返すし
語りかければ語り返す
小学生だった僕はいつも不思議だった。
なんでみんな見えないんだろう?
なんでみんな聞こえないんだろう?
2-3年生の頃だろうか、
あぁ、これは
「人には言っちゃいけないんだ」
そう思った時がある。
けんちゃんの後ろに立つお祖母ちゃんのことも
ゆみちゃんの肩にポンと乗っている腕も
透明な人がフワフワ浮いている事も。
もちろん言ったところで誰も相手にしなかったし(少なくとも先生は気味悪がったろう)
誰にも見えない、感じないようだった。
いるいないでケンカになったこともあったっけ。
それ以来僕が見えるものは口にしなくなった。
不要な争いは起さないに限る。
そして
小学校も高学年になるにつれ、だんだんと意味が分かるようになってきた。
あぁ
「見えちゃいけないものなんだ」
これまで特に意識して来なかったが悪いことをされたことは無かった(と思う)
自分には微笑んでくれたり、小さい頃は一緒に遊んだりしていた程だ。
たまに、嫌な感じがあったり寒気がしたりは少しはあったかもしれないけれど特別自分に向けられた訳ではなかったので、気にしていなかった。
だけど意識の違いとは恐ろしい物で、「言っちゃいけない」から「見えちゃいけない」
に変わることでとたんにそれが恐ろしい物に感じるようになったのだ。
だけど見える見えないは自分の意志ではどうすることもできない。
勝手に見えるわけだし今更見えないようにどうにかも出来なかった。
・・・大学1年の冬だったろうか。俺は懐かしい場所に来ていた。
小さい頃から転校生だった俺は3つの小学校に通った事がある。ここはその内の5-6年を通った、言わば最後の小学校。
遊びに明け暮れ、秘密でない秘密基地をいくつも作り、夜中学校へ忍び込んでめちゃくちゃ怒られたこともあったっけ。
俺はそんな思い出に浸りながら新しく立て直したばっかりの体育館を眺めていた。
久しぶりの再会だ。あいつは元気にしているだろうか。中学校に入ると同時に転校していったあいつ。
山田太郎は急いでいた。小学校6年の時に別れた友人に会うために。小学校の頃のあいつは時間にうるさかったから少しでも遅れたら感動の再会よりも先に説教が待っていそうだ。
こんなことなら俺も携帯の一つも持っていれば良かったかな・・・。
ポケベルもPHSも持たないと流行りに流されずに来たがそろそろ限界かな・・・。
太郎は心の中で舌打ちしながら急いでいた。
学校の正門が見えてきた。腕時計をチラリと見る。思ったとおりの時間ギリギリだった。
こんなにダッシュしたのはいつ以来だろう?
肩からかけている黒いカバンが走るのを邪魔するように絡みついてくる。
太郎は正門を抜けるとあいつ・・・たけを探した。
アイツの事だから一人で校舎の中には入ってないだろう。
感傷に浸りながら校舎の外で学校を見ているんじゃないだろうか。
・・・いた。案の定一人で立っていた。
背はあまり伸びておらず小さいままだ160センチくらいだろう。そして当時と変わらず坊主が少し伸びたような髪型でまるで坊っちゃんだ。小学校にいても対して不思議がられないのかもしれない。
一人で体育館入口に立っていた。
「そんなところにいたら不審者と間違われて通報されるぜ?」
あまりにもぼーっと立っていたので思わず声をかけた。
おー!新しい体育館って綺麗だなぁ・・・。
たけは感動していた。
たかが6-7年前は古臭い、それこそ天井に誰がやったのかいくつかのボールが挟まっており、それは取れることは決して無かった。
あのボールはいったいそれからどうなったんだろう?
別にどうでもいいことなんだがふと気になった。
その時背後から声がする。
あーやばい。先生か?なんて言い訳しよう?
別にやましいことは少しもないのだが、ドキドキと胸がなった。
しかしそれにしてはなれなれしいような・・・。
「久しぶり。」
振り返って驚いた・・・。
つづく
コメント
2014/03/15 15:02
1. 新シリーズかな?
時々覗きますね
返コメ