覚悟を決めたんだ! ~この命をささげるよ~
50代前半  北海道(道南)
2015/11/14 14:10
覚悟を決めたんだ! ~この命をささげるよ~
昨日
大沼だんごを持ち
オヤジの所に顔をだした

おふくろにだんごあげ
手を合わせる

その後ろで
オヤジが語り出したんだ

とも
弟が落ち込んでたぞ
かなり
落ち込んでた
独立するのもいいけど
兄弟喧嘩だけはするなよ!



なんで
何落ち込んでたってよ

よくわからないけど
店の名前を変えるから
じゃないか?
お父さんは
そう思うんだ

自分でやればいいべやって
言い出したのは
あっちだぞ
どうせ店ダメにするから
って
それも彼女に!だ
手術して体が治らないなら
店しめればいいべやって
俺に言ってきたのは
あっちだぞ
オヤジ
誰が好き好んで
こんな体になる
人間がいる?
誰が好きで体にメス入れる
人間がいるんだ?
俺だって好き好んで
こんな体になりたくて
なってるんじゃねぇー
俺だって兄弟で
ずっと店をやりたかった
でもな
あそこまでいろいろ
言われたら
何しゃべってるのよって
なるべや
別に兄弟喧嘩する
気がなくても
そうなるように
してくるのはあっちだろ
俺は兄弟喧嘩するきはない
自分がはいた言葉の
重さをわかればいいんだ!
あんなこと言われないば
こんなことには
ならなかった
あの言葉聞いて
それならいい
自分でやる!
オヤジの面倒もすべて
俺が見る!って
覚悟を決めたんだ
弟にも言ったし
オヤジも覚えておけ
この先
彼女と店をやる
なにもかも
1からやり直す!
うまくいくかいかないかは
わからない
けど俺はがんばる
店が駄目でも
オヤジが死ぬまで
俺の貯蓄全部使うし
借金してでも
オヤジが死ぬまでは
俺は面倒を
なにがなんでもみていくし
彼女の面倒も見ていく
俺はどうなってもいい
これから先は
オヤジと彼女に
この命ささげるよ!
兄弟喧嘩はしないように
していくから
心配は
しなくてもいいからな

そう言って
オヤジの所から出てきた

昨日はこんなことが
あったんだよ

そして帰って来てから
俺はだいぶ前に書いた
おふくろの
日記を読んだんだ


今日の〆はその日記で!


~最愛の人~


12月29日
最愛の人
おふくろの命日

28日 昼間
オヤジに電話した

今日仕事終わったら
そっちに走るからと

わかった

仕事が終わり
俺は彼女を連れて
オヤジの所に向かった

走り始めたのが
1時を過ぎてた
そして二時間かけて
オヤジの所へ

夜中の3時ちょっと過ぎ
俺は玄関あけ
オヤジの部屋の
ドアを開けた

目に入ってきたのは
背中がまた一段と
小さくなった
オヤジの背中

オヤジ起きてたのか

お前が来るって
言ったから

何も寝てろよ

いいんだ

きっとオヤジも
久しぶりの俺の顔
見たかったんだろうな
仏壇に花を飾り
手を合わせた

おふくろ!
オヤジを見守ってくれよ!と

オヤジもう行くよ

オヤジが話しかけてきた
今、店暇なんだって

まぁーな
弟から聞いたのか?
リニューアルオープンした
店もあるし
1月には魚民が
オープンする激戦区だよ

でもなオヤジ!
俺はこのまま
終わらないからよ
負けねぇーから!
心配するな

わかった
頑張れよ!

おう
じゃー帰るよ

俺はオヤジに頭をさげ
帰る

家までまた二時間
ちょっとキツかった
11月中旬から
休みなしで働いていたから

10月までは
店の売上は良かった
ところが
新装オープンした店もでき
11月はガクンと
売上が落ちて
調理場の勝子ちゃんに
社長がグチグチ言い出して
しまいには毎日毎日電話
今日はどうたどうだって
もぉーいやになったよ

こうなるのはわかってた
2カ月前から
目線を変えて取り組んで
来たけどちょっと遅かった
今日は1月24日
29日に魚民がオープンする
今月も元旦休んだだけ
疲れもたまってるけど

俺は決めた

2月までは
休みなしでやると
この間で新しいピラミッド
作りと目線の再確認を
することにしてる
負ける訳には行かないから
使命感と責任感をしょって
彼女の力を借りながら
俺は突っ走る!



今日の最後は
一昨年おふくろの
命日に書いた
日記でしめるよ~



朝の9時過ぎた
仕事終わってから
ずっとひとりで
仕込みやってる
まだ終わらないや
今日は寝ないで
仕事になるなー
今 一息して
日記書いてる

この二、三日ずっと
雪が降ってるよ

仕事に出る時
カーテンをあけると
白銀の世界に
粉雪が舞い上がったり
しんしんと降り続いてる

あの時の記憶が蘇る

あの時と同じだよ

おふくろが入院してる
部屋の窓から見える景色と

うちの実家はスーパーやってて
小さい頃から親の苦労を
見てきた
俺たち兄弟にご飯を
食べらせるために
毎日 毎日
寝ないで必死に働いてた
家族みんなで一緒にご飯
食べることが少なかった

俺は幼いながらにも
こんな生活が嫌いだった

そんな俺が今じゃ
やきとり屋だよ
商売してるんだ
親の血を受け継いでる
なんの縁か知らないけど

カエルの子はカエルよ

おふくろが白血病だった
入院先から
弟が泣きながら電話を
かけてきた
もうダメみたいだと
兄貴どうする?
俺はいけねぇー
店 守らないと
ちょうど12月の末
休まず営業してた
忙しくて忙しくて
体も疲れはててた

弟が兄貴!
俺 悔しくて悔しくて

なした?

妹との旦那が
こんな時になんで
長男が来ないのよって!

兄貴! 
俺 悔しいで
何 あいつらに
商売人の気持ちわかるのよ
そうだべ!
兄貴そうだよな!

俺も泣いたなー

お前の気持ちもわかる
俺だって今すぐ
おふくろに会いたい!
顔を見たい!
手を握りたい!

でも
わかるべ!
俺たちは商売人だ
お客様あってだろう!

万が一があっても
俺が行けないんだから
お前が!
見届けろ!

そう言って電話を切った

その日はどうにか山を越えた

それから3日くらいして
今日仕事終わってから
そっちに走るから

弟が
兄貴行かない方がいい
無理だ!
そんなに疲れてたら
無理だって!
今日1日体休めて
明日にすれ!

しつこく言われて
あきらめた
じゃー明日行く!

仕事が終わった頃
オヤジから電話きた

とも!
今日来るのか?

なした?

お母さんがな

なした?

お母さんが言うんだよ
まだ家族が来てないって!
誰よ!って聞いたら
ともが! ともが!って
お前の名前を呼んでる
今日くるんじゃなかったのか?

行こうしたけど
弟に止められて
明日仕事終わったら
行くから!

わかった
お母さんに伝えておく

次の日に行った

俺はものすごく
ショックをうけた
おふくろはもう
別人だった
ただベッドの上で痛さのあまり
ころげまわって転げ回ってた

でも
俺の顔を見た瞬間
店忙しいか?って
かすかな声で

おふくろ
大丈夫! 大丈夫!だよ
忙しいから心配するなよ
俺は手を握り
とにかく頑張れ!
病気に負けるな!

それしか言えなかった
 
入院して一週間
帰らない人になって
しまった

それから
家に帰ってきた
おふくろに
俺は
おふくろの妹に口紅をかりて
口紅を小指にぬり
そーと
おふくろの唇に
ぬってやった
そして
何度も何度も
髪をとかしてやった

そして最後に
おふくろの隣り
手を握り添い寝をした
何時間横になってたのかな


これが
おふくろに最後してやれたこと

今でも
心の中で
変わらない
おふくろが
生きている


俺の最愛の人!

おふくろの家族愛の強さを
俺は今!受け継いでる。


思い出すと涙が出る。
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