思い出ノート。
どうしてこんな時に出てくるかなぁ
全部捨てたハズなのに
あなたの形見として
私の大切な思い出として
前掛けだけは残してあるよ
奥はノンアルソーダと
ハイボールと炭酸水
サワーは手前
ユッケのオニオンスライスは20g
唐揚げはフライヤーへ4分 油切り2分
たたきキュウリは
切り包丁を入れてから螺旋切り
つくねは58gずつ ラップ
マッシュルームフライ
私の大好きなやつ
このマヨワサの味付け
今度久々に作ってみよう
お通しは山芋の千切りが多かったけれど
カップルが御来店されたら
女性にはクリームチーズの
お通しにするんだよね
必ずお出しする時は
女性のお客様が先
ハイボールのウイスキーは30
レモンが入る時は25
山崎12年は真ん中のボトル
マッカラン ダブル カスクは
2番カウンターの前
メーカーズマークは焼き場の目の前
レゲェパンチに
肝心のピーチを入れ忘れちゃ絶対ダメ
梅酒ロックは45を2杯
富野宝山の読み方、また間違えてる
知心剣は奥にあるね
凍結オレンジサワーのおかわりは
中だからね
あのお客様はいつも浦霞
日本酒を薦められたら
とりあえず八海山と
司牡丹をオススメするかな
お会計を終わらせ
お客様がお帰りの際は
ちゃんと焼き場の店長に声掛けしないと
出口まで店長が必ずお客様をお送りする
それはこの店の絶対ルールだろ
今日久しぶりに昔の日記を見たよ
2019年 7月10日
中島みゆきの " ファイト "
あの時 このノートに歌詞を書いたんだ
きっと心が折れそうになってたんだね
でも日記には
最後 自分自身へ向けて
歌詞を作り替えたんだった
ねぇ 店長
どうして死んぢまったんだよ
私 やっとこっちに戻ってきたのに
元気になってきたのに
私がいつか元気になったら
また一緒に働こうって
あの時笑いながら言ってたのに
あなたが焼く焼き鳥
あの笑顔
もうないんだ
深夜1時に私は溜まった食器を洗う
店長は一服
たまに好きなお酒を
好きな割り方で呑んでさ
私はしょっちゅう
ハイボールを濃くする癖があって
たまに店長の顔が赤いと気付くんだ
" まぁた濃くしやがった
俺を酔わせてどうすんだよ " って
腹ぺこな私はお客さんの残り物を
たまに食べたりして
みんな笑顔があって
笑い声がして
……いい時間だったなぁ
私はビール党だったけれど
この店で働いてから
ハイボールが好きになった
もう一度
あなたと呑みたかった
お父さんと娘みたいな関係性で
私の良い所も悪い所も
わかってくれていた
ねぇ 店長
あの時より
私 まだ元気ぢゃないけど
頑張ってるよ
もう少し
もう少し
今の仕事が続いたら
サシで乾杯しよう
そう言えば
ちゃんと二人で呑んだ事
なかったっけ