美人な彼女。
私には駆け込み寺がある
仕事や育児や
旦那様の事で
どうにもならなくなった時
辛くてしんどくて
一人では
どうにもならない時
彼がその場を作ってくれた
私が大好きな
ウクライナ料理屋
そこのウクライナ出身の
美人ママさんと
とっても仲良くなってね
仕事の話も
子供の話も
旦那の話
恋の話
この歳で
女子トークなんかもして
どんな事も
気兼ねなく話せる仲だ
でもこのお店のコスパは
決して良くない
金がない私には
早々通える店では無い
働いたパートの
泣け無しの金で
料理を一品だけ頼み
お水を何杯も飲み
居座り続ける
金にならない客
でもママは
いくらでも居ていいよと
お洒落なお店のカウンターで
私の仕事の勉強道具を
持ち込む時もある程だ
いつも
色んな話を聞いて貰って
美味しい料理を食べて
必ず元気になって
帰れる店だ
彼は私にはとっても
払えない金額を
前金として
お店に払ってくれた
俺が逢いに行けない時に
ここにいつでも
来れる様にと
私が心の拠り所になる
お店が
場所が出来て
俺は嬉しかったよ
と言ってくれた
私は辛い時に
その店にたまに
訪れる様になった
でも大事な
大切な彼のお金
勿体ないから
いつも大体一品に
しこたまお水を飲むだけ
それでも充分な
贅沢で幸せな時間だった
今日久しぶりに店に行った
仕事を辞める事に
決めてから
働いてもいないのに
この店に来れなかった
来る資格はないと思った
仕事で辛い思いをして
自分へのご褒美や
元気を出す為に
来る店であって
無職になった
私が来るのは
申し訳が立たなかった
ママは予約が入り
今日はパートさんもいなく
一人忙しく
料理の下ごしらえをしている
話をする暇さえ
ないのが分かる
いつも開店して
すぐの夕方
誰もいないカウンター
好きな音楽に
して良いよって
私の好きな
米津玄師を
店内に掛けてもらった
大好きで
でも辛かった
仕事を辞めた事によって
精神的に
ラクになった事もあるが
その後遺症ならぬ
哀しみは大きな物で
色んな所事で
苦しむ毎日だ
ポロポロ
止まらない涙が
また溢れてしまった
料理がきた
私の大好きな
久しぶりに食べるブリニイ
めちゃめちゃ美味しい
少しほくそ笑んだ
涙が止まった頃
料理の下ごしらえが終わった
ママが言った
" ………元気だった? "
不安そうな顔をしながら
私がずっと店に来ないから
彼女なりに
何かあったんだろうと
心配してくれた
私は仕事を辞めた事を話した
" うちの店で働かない? "
彼女は言った
私は信用してる人にしか
こんな事は言わない
ちなみちゃんは
ちゃんと仕事をやる人だって
私はわかってる
嬉しかった
でもお断りしたけどね
そして少し遅れた
誕生日にと
今日の私の気分に合う
お酒とおつまみを
プレゼントしてくれた
今日は2人で乾杯だ
って笑顔で
一緒に酒を交わした
帰り際に彼女は言った
あなたには笑顔が似合うから
あなたが笑顔でいられる
仕事がちゃんとあるから
大丈夫よ
って
私、決めた
頑張ってまた働く
働いてちゃんと
自分の力で稼いだ
お金でこのお店に来るんだ
でも またどうしても
辛くなったら
彼のお金に頼ってしまうかもしれない
でも 頑張るよ
自分に負けない
彼様
美人なママ
ありがとう❁⃘*.゚