「晩餐」高村光太郎
暴風をくらつた土砂ぶりの中を
ぬれ鼠になつて
買つた米が一升
二十四銭五厘だ
くさやの干ものを五枚
沢庵を一本
生姜の赤漬
玉子は鳥屋から
海苔は鋼鉄をうちのべたような奴
薩摩あげ
かつをの塩辛
湯をたぎらして
餓鬼道のように喰ふ我等の晩餐
ふきつのる嵐は
瓦にぶつけて
家鳴震動のけたたましく
われらの食慾は頑健にすすみ
ものを喰らひて己が血となす本能の力に迫られ
やがて飽満の恍惚に入れば
われら静かに手を取つて
心にかぎりなき喜を叫び
かつ祈る
日常の瑣事にいのちあれ
生活のくまぐまに緻密なる光彩あれ
われらのすべてに溢へこぼるるものあれ
われらつねにみちよ
われらの晩餐は
嵐よりも烈しい力を帯び
われらの食後の倦怠は
不思議な肉慾をめざましめて
豪雨の中に燃えあがる
われらの五体を賛嘆せしめる
まづしいわれらの晩餐はこれだ
コメント
2018/07/14 7:29
6. >>5 チャリオ!身体は剣で出来ている!さん
いいと思います。
宮澤賢治ではありませんが、
僕の前に道はある の 道てい が好きです。
返コメ
2018/07/14 5:43
5. >>4 マリンさん
宮沢賢治の詩も素敵ですよね!
返コメ
2018/07/13 23:12
4. 雨ニモマケズ を思い出しました。
返コメ
2018/05/14 20:38
3. >>2 ららさん
若いエネルギーを感じる
詩だよね!
返コメ
2018/05/14 6:51
2. ☓
朝食
○
晩餐
でした。
返コメ
2018/05/14 6:15
1. おはよう。早起きで
詩集ですね
豪華な朝食だ!笑
どうしても、手に入れたいと言う
思いが、込められてますね
雨も、上がったようで
身体の重い
月曜ですが、踏ん張ろう
返コメ