小説 【疎開の女】
20代後半  大阪府
2023/06/28 1:51
小説 【疎開の女】
1945年3月10日の深夜。 東京上空に大挙してB29が襲来した

後年、東京大空襲と命名されたが 苛烈をきわめ 死者数が10万人以上、

罹災者は100万人を超え、東京23区のほぼ全域が 一夜で見渡す限りの焼け野原となったのだ

当時の新聞報道では「東京大焼殺」と呼称されていた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

山梨県甲府から東に大月村と言うのがある 東京八王子に近い山村だ 

3月15日に 役場から村民全員に呼び出しがかかった

「またか・・」立夫と古女房のおたきがため息をついた 


どうせ 疎開の連中を受け入れる話しかない。 東京で大空襲があったと聞き この話が来ると

思ってたが やはり来たのだ

立夫の家は昔は庄屋で 建物自体、でかいし 村一番の農家でもあったから 半ば強制の割振りで充てがわれており 
既に学童疎開で二人預かっていたのである・・


二人の育ち盛りのガキはメシをたらふく食うが 国から涙金の補助しか出ない。

下手に不平不満など言えば警察にぶち込まれるだけで済まないのだ 

専業農家という事で徴兵免除になっているが取り消されないとは限らないのである

立夫は役場に出向いて割り振りカード見たら 女1 子1 となっていて 年も書いてない。 疎開予定は明日とあった

(どうせ婆ぁだろう・・) 孫でも連れてくるのかと思った

「前島さんとこは これで4人ですか」・・と 役場の担当が気の毒そうな顔をしやがった

(クソっ!なんてことだ・・こっちが干上がってしまうぜ・・ 軍隊様に差し出す供出米が多すぎて 余裕なんてないのに むちゃくちゃだぜ)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日、 トラックに満載された疎開者が来た

役場のアホ担当が 前嶋のもとに連れてきたが

なんと! 若い女だったのだ・・

年は24歳 子供は連れてなかった 聞いたら幼児なので直前になって 女の縁戚に預けたというのだ 夫は 南方の戦地にいると説明を受けた


女がベコンと会釈をし ニコッと白い歯の笑みがこぼれた

それが眩しいほど美しかったのであるが それよりも 

胸と尻がこんもりと盛り上がり 40歳の立夫は胸がドキンとするのを覚えた

つづく
コメントする

コメント

60代後半  鹿児島県

2023/06/28 6:48

1. これからの続きは想像がつきますが、新作ですね。楽しみ〓️

…━…━…━…

無料会員登録はコチラ

…━…━…━…