小説 【疎開の女】2  窮鳥懐に入れば・・
20代後半  大阪府
2023/06/28 9:19
小説 【疎開の女】2  窮鳥懐に入れば・・
女は向井 静江といい 東京の浅草から来て 今朝早くトラックに乗せられたという。

それはいいが ぼろ布をまとったようものを着ており下見たら草履の裸足である・・

山梨の3月は山には残雪が残っているほどの寒さだ。 静江は震えていた・・

着のみ着のままの 身一つで逃れてきたようなもので 手荷物もない 


立夫は 役場と直接掛け合い 倉庫に積み上げられていた救援物資の軍用の毛布とサラシ何枚かとボロ防寒着が あったのでソレをもらい受けてきた 

立夫の機転でそれらを手にできたのは運がいいほうで、・・疎開者のほとんどが 乞食のような身なりのままで農家に引き取られていった

主要都市部は爆撃に連日晒され 食糧危機に見舞われ欠食家族なんてザラだ。 死んだ遺体も片づけられず放置されている惨状だから疎開ができて、なおかつ・・生きているだけマシってことか・・

「奥さん、この部屋を使ってくれ 汚いが寒さは凌げるぜ」と 2階の4畳半に招き入れた・・

「すみません・・助かります・・」

と 静江は 出会ってからその言葉を連発した 


しかし、たちまち困ったのは寝具がないのだ・・ 学童疎開のガキに布団を出してしまっていたからだ

ガキは今 畑の芋ほりにでかけていない・・

なのでガキの部屋から布団半分持ちだして 静江に与えた・・暖を取るにはあとは藁を敷きこんだらなんとかなる。。

ぉっと、あとは着替えだ・・女房のタンスから 肌襦袢や腰巻など 思いつくものを種々 持ち出した 

(あとで怒り狂うだろうが 美人の若い客の方が大事だぜ)


と苦笑いしながら・・それも与えた

「すみません・・助かります・・ありがとうございます!」を静江は恐縮のしまくりだ


立夫は 女の顔や容姿を 盗み見た

気品のある顔立ちといい 言葉遣いや立ち居振る舞いは 少なくても下賤の女ではないと思った


それにやせ細った他の被災者とは違い 食料の配給性になっているにも関わらず

豊かな肉付きを保っており 尻も大きい・・ うまいものを食っていたフシが窺えた

露骨に腰辺りを見ていると 静江がそれに気が付いて 視線をそらせた

「おっと・・すまんな・・わしも・・長いこと美人を見てないので」と 本心をあっさり吐露したら

「いいえ、私のようなものなど」・・と 薄い笑顔を見せた

立夫は 気が楽になり 「旦那はどちらに出征?」と訊くとサイパンと答えたが それなら玉砕している筈だ・・

戦死公報に載ってなくて 希望は持ってますと静江は言ったが 半ばあきらめきったような 寂しげな表情だった 
親戚などは 爆撃でやられ・・唯一の身寄り先は遠縁でそこに子供は預けてきたと話した

(そうかぁ・・すると 未亡人がほぼ確定女だ。 どこにも行けないことになる・・ってことはだ・・」

ほくそ笑みが自然とこぼれる。

【窮鳥懐に入れば猟師はこれを殺さず 】と言う例えを思い出した

殺すどころか 可愛がる妄想を浮かべつつ 立夫は静江の尻に再び視線向けていた 

つづく
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コメント

60代前半  北海道(道央)

2023/10/31 13:53

2. お久しぶりです。
ず~と再開を待ちわびていました。
嬉しいですね。
又、エロ小説と忖度のないご意見楽しみに
してますよ。

60代前半  埼玉県

2023/06/30 11:23

1. 
久し振りです

日記読めなくなってから ワクワク遠ざかってしまいました
又 読めるようになり 嬉しいです〓️

月日立てども 変わりなく綺麗です

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