【米中激突】 6 アメリカ第7艦隊、台湾沖戦闘海域へ
ワシントンから届いた通信は、官邸に重苦しい沈黙を落とした。
「日本の苦渋は理解している。だが機雷の除去は待ったなしだ。海上自衛隊の協力を求める」
米国からの要請は事実上の命令に等しかった。拒めば同盟は破綻し、受け入れれば中国を敵に回す。
総理は深夜まで会議室に籠もり、机に額を押しつけるようにして悩み続けた。
やがて閣議は結論を出した。
「シーレーン確保は国民生活の死活問題だ。やむを得ず、海上自衛隊を出動させる」
翌朝、防衛省市ヶ谷の司令部に緊張が走った。
「対馬沖を出航。第一護衛艦隊、台湾東方へ向かえ」
命令を受けた隊員たちは、誰一人声を発しなかった。祖父母が戦争を語り継ぎ、平和憲法の下で育った世代が、いま現実に戦場へ向かおうとしていた。
そのころ太平洋では、第七艦隊がすでに動き出していた。原子力空母「ロナルド・レーガン」の甲板には無数の艦載機が並び、台湾東方に展開する中国艦隊を牽制していた。
初の任務は、台湾沖に散布された機雷の除去だった。海上自衛隊の掃海艇が静かに接近し、海底に潜む鋼鉄の球体を一つひとつ爆破していく。
――だが、その作業を中国が黙って見守るはずはなかった。
「未確認機、接近中!」
レーダーの警告音が艦橋に響く。掃海艇の頭上に、人民解放軍空軍の戦闘機が現れ、威嚇するように低空を飛び抜けた。
緊張が張り詰め、誰もが引き金に指をかける。
その瞬間、世界は凍りついた。
米中、そして日本が同じ海域で睨み合う。小さな火花ひとつが、全面戦争の引き金となるのはもはや誰の目にも明らかだった。