小説『前島記念中央公園』
30代前半  大阪府
2025/12/02 11:22
小説『前島記念中央公園』


—余命半年の男が街に残した奇跡—

◆ 第一章 余命半年の宣告

冬の診察室に、重い沈黙が落ちた。

医師はカルテから顔を上げ、残酷な事実を静かに告げた。

「前島さん……余命は半年ほどです。
肺にも転移していますし、手術はもう難しいでしょう」

世界が一瞬で遠のいた。

「予兆はありませんでしたか?」
医師の問いに、立夫はかすれた声で答えた。

「鈍痛や咳、吐き気はありました……
でも、ただの疲れだと思い込んでいました」

これから先の景色が、急に色を失っていくようだった。

(俺は……この世に何を残せるんやろう)

診察室を出たあと、
立夫の胸に残ったのは、ひとつの焦燥だけだった。

“生きた証を残したい”

それが、余命半年の男の最後の願いだった。
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