小説『前島記念中央公園』
—余命半年の男が街に残した奇跡—
◆ 第一章 余命半年の宣告
冬の診察室に、重い沈黙が落ちた。
医師はカルテから顔を上げ、残酷な事実を静かに告げた。
「前島さん……余命は半年ほどです。
肺にも転移していますし、手術はもう難しいでしょう」
世界が一瞬で遠のいた。
「予兆はありませんでしたか?」
医師の問いに、立夫はかすれた声で答えた。
「鈍痛や咳、吐き気はありました……
でも、ただの疲れだと思い込んでいました」
これから先の景色が、急に色を失っていくようだった。
(俺は……この世に何を残せるんやろう)
診察室を出たあと、
立夫の胸に残ったのは、ひとつの焦燥だけだった。
“生きた証を残したい”
それが、余命半年の男の最後の願いだった。